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 画面表示と入力機能に特化した情報端末。アプリケーションなどはサーバー側で実行し、その処理結果をネットワークを介して端末側で受け取る。

 従来はPC型の専用機を指したが、スマートフォンやタブレット端末での利用も広がっており、広義のシンクライアントに含めるようになった。端末にファイルやデータを残さないので、モバイル利用が多いスマートフォンでの情報流出リスクを減らせる。

 オフィス内の利用では、マイクロソフトのOS「Windows 7」への移行を機に、セキュリティ向上や運用負荷の軽減を狙い、シンクライアントを検討する企業が増えている。さらに最近は、災害時の事業継続性や夏期の節電対策に向けて在宅勤務を検討する企業が増え、その利用端末として関心を集めている。

 ITベンダーによると、社外利用だけでなく、オフィスに置くPCを代替する場合でも高い節電効果が期待できるという。端末はディスク装置を持たず画面表示に特化するため、PCに比べると端末の消費電力が大幅に低いからだ。端末側の消費電力が減る一方、アプリケーションを処理するサーバーの消費電力が増える。しかしベンダーによると、電力当たりの処理能力はサーバーの方が一般に高く、トータルで使用電力量は減らせるという。

 サーバー側の処理形態によって、(1)サーバー・ベースト・コンピューティング(SBC)方式、(2)仮想PC方式、(3)ブレードPC方式──などの種類がある。SBC方式はサーバー上のアプリケーションを複数の利用者で共有する。構築費用が比較的安価だが、同時利用を想定していないソフトが正常動作しないなど、利用できるアプリケーションに制約が出る場合がある。

 仮想PCは1台のサーバー上に複数のPC環境を作り出し、各利用者が占有する方式。構築費用はSBC方式より高くなる傾向があるが、PCとほぼ同様の使い勝手を実現し、幅広いアプリケーションが利用できる。米シトリックス・システムズの「XenDesktop」や米ヴイエムウェアの「VMware View」などの製品がある。

 ブレードPC方式はサーバーの代わりに、「ブレードPC」を用いる。ほぼPCと同じアプリケーションが利用できる点がメリットだが、価格はほぼデスクトップPCと同等である。

 サーバーと端末間の画面転送などには専用プロトコルを利用する。米マイクロソフトの「RDP(Remote Desktop Protocol)」、およびシトリックス・システムズの「ICA(Independent Computing Architecture)」の2種類が主流。RDPはマイクロソフト製品に広く標準搭載され導入しやすい。ICAは対応製品が限られるが、利用する帯域がRDPより狭いことが特徴。このためスマートフォンや屋外でノート型端末を利用するなど、携帯電話回線を介した接続に向く。

 SBC方式と仮想PC方式で、サーバー側で運用するPCの利用環境を仮想デスクトップ環境と呼ぶ。企業が自らのサーバーで運用するほか、ベンダーが貸し出す「DaaS(Desktop as a Service)」と呼ぶサービスもある。ITベンダーや通信事業者などから、この1~2年でサービス提供が相次いでいる。