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 システム開発における「要求定義」を、組織的に進めるために必要な知識を体系化したガイドライン。正式名称は「要求工学知識体系(Requirements Engineering Body Of Knowledge)」で、略称が「REBOK」(アールイーボック)。情報サービス産業協会(JISA)が5年がかりで策定し、2011年6月に第1版を公開した。

 REBOKの狙いは、要求定義の失敗に起因する“手戻り”を減らして開発工数や開発コストを抑えたり、構築したシステムの活用度を高めたりすることだ。属人的だった要求定義の知識や手順を体系化することで、ユーザー企業のIT投資のROI(投資対効果)を高めるほか、ITベンダーの開発生産性も高められる。

 これらを実現するためにREBOKでは、要求定義に必要な知識体系を八つの領域に分類し、それぞれの目的や必要な作業、注意点などをまとめている()。「システムをどう作るのか」ではなく、「何のために作るのか」「どんな効果が期待できるのか」を要求定義工程で明確にすることに重点を置いている。

表●REBOKにおける八つの知識領域
表●REBOKにおける八つの知識領域
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 「要求工学の基礎」と「要求工学プロセス」では、要求定義を実践するために不可欠な基礎知識を示す。要求には三つのスコープがあることや、機能要求と非機能要求の違いがあることなどを示す。「要求獲得」「要求分析」「要求仕様化」「要求の検証・妥当性確認・評価」「要求の計画と管理」では、要求を定義する具体的な作業に関連する知識や技術をまとめている。

 なかでもREBOKならではの知識領域が、「要求獲得」である。ステークホルダー(利害関係者)が意識していない要求を発見・整理し、要求として定義する手順やテクニックを解説している。要求は受け身ではなく能動的に「引き出す」ものと説き、その実践方法として、現状のシステムや目指すべきシステムをモデル化する方法や、課題解決に向けたゴールを見つけだす手法などを示す。

 REBOKの策定メンバーであるNTTデータやTIS、日立ソリューションズなどは、REBOKを社内で活用し始めた。JISAはREBOKを国内外で本格的に普及させるために、2011年度中に人材育成カリキュラムや解説書を用意する。英語版も同年度内に公開する予定だ。