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 企業の従業員が、自身の所有するノートPCやスマートフォン、タブレット端末などを業務に利用すること。ビーワイオーディーと読む。社内に私物機器を持ち込む場合と、自宅で私物機器を業務利用する場合の両方を指す。同様の意味を持つ言葉として、BYOC(Bring Your Own Computer)がある。

 1970年代頃から、米国やオーストラリアなどで、客が店外で購入した飲料をレストランやバーに持ち込むことを指すBYOB(Bring Your Own Bottle)という言葉が使われるようになった(BにはBeer、Beverageなど様々な説がある)。BYOBをさらに縮めたBYOという言葉もよく使われる。BYODは、こうした表現をまねたものだ。

 現在、世界的にBYODが急速に広まっている。その理由は大きく二つある。一つは、スマートフォンを個人で所有する従業員が増えたことだ。私物のスマートフォンの持ち込みを企業が制限するのは難しい。私物の携帯電話の持ち込みはそれほど問題にならなかったが、PC並みの機能を持つスマートフォンの場合、顧客情報などのファイルが漏えいする心配がある。それであれば、私物もきっちりと管理したうえで、会社への持ち込みや業務利用を認めようというわけだ。

 もう一つは、企業が従業員に対し十分な数の端末を支給できなくなっていることだ。これにはリーマン・ショック以降の先進国の景気低迷が影響している。IT部門がコストを抑えたいと考えている現状では、私物機器の利用により端末の購入費を抑えられるメリットは大きい。

 米国でBYODが広まり始めたのは、ここ1~2年だ。BYODに取り組む企業の多くが何らかの補助制度を導入している。それがないと、「私物を業務で使ってくれ」と言われても、従業員にメリットがないためだ。

 米クラフトフーズは2010年、従業員に私物PCを使わせることを決めた。PCの購入補助費を支給し、オフィスソフトやウイルス対策ソフトのライセンスは会社が購入した。米シトリックス・システムズも2年前から私物PCの購入補助費として、一人当たり約2000ドル(約16万円)を従業員に支給している。日本でもBYODは急速に普及している。日本の場合、先の二つの理由に加えて、3月11日に起こった東日本大震災の影響がある。KDDIやディー・エヌ・エー(DeNA)など多くの企業が、電車が不通になり出社できない社員に在宅勤務をさせる、といった理由で急きょ私物の利用を認めたのだ。KDDIとDeNAは、震災時の私物利用が有効に機能したことから、現在も在宅勤務やBCP(事業継続計画)対策を理由に、私物の業務利用を認めている。

 こうしたこと以外にも、BYODのメリットは多い。例えば、「使い慣れている端末なので業務効率が上がる」「荷物が減る(会社支給の端末と私物の二つを持ち歩く必要がない)」といった効果がある。

 ただし、BYODを実践するには、セキュリティ対策や就業関連のルール整備、従業員のモラル向上、ルール違反があった場合の罰則、端末や通信費の補助など、様々な検討が必要になる。これらをしっかりと考慮したうえで、私物利用の可否を決めるべきだ。