PR

 国や自治体などの公的機関が保有しているデ ータを、再利用しやすい形でインターネット上に公開し、個人や企業といった民間での活用を促す取り組みやコンセプトのこと。「Web2.0」提唱者で米オライリーメディア創設者のティム・オライリー氏が2009年に提唱した。ガバメント2.0に対する取り組みは米国が先行していたが、日本でも東日本大震災をきっかけに注目が集まっている。

 国や自治体が情報を公開せずに囲い込んだり、データの民間活用をほとんど認めなかったりするのが「ガバメント1.0」。これに対しガバメント2.0では、公的機関が様々なデータをCSVファイルなどの標準形式で公開したり、データベースにアクセスできるAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を公開したりする。これらのデータを活用したWebサービスやアプリケーションの開発を民間に促すことで、コストをかけずに行政サービスの質を高められる。

 米連邦政府は2009年5月に情報公開サイト「Data.gov」を立ち上げた。現在、約39万件の行政データを公開しており、このデータを活用した236個のWebアプリケーション、51個のスマートフォン向けアプリケーションが民間の手で開発・提供されている。米国のサンフランシスコ市では、ゴミの不法投棄や道路の陥没、信号機の故障など、市民からの苦情や問い合わせの内容を公開するサービス「HeyGov!」を運営しており、60種類を超えるITサービスが民間の手で開発された。

 日本においては東日本大震災以降、国や自治体が公開した震災関連情報を、民間企業や個人が加工し、国民に分かりやすく提供するサービスを開発する動きが広がっている。その一例が、文部科学省がWebサイトで公開している放射線量の観測データを基に、放射線量の分布状況を地図上に示すサービスだ。NTTレゾナントの「全国放射線量マップ」や、日本マイクロソフトの「全国放射能水準マップ」などがある。

 内閣官房と民間有志が連携して開設した震災情報サイト「助けあいジャパン」は、災害ボランティアの募集情報をXML形式でアクセスできるAPIを公開した。ヤフーはこうしたAPIを使うことで、地図情報と合わせて被災地の復興支援情報を提供するWebサイト「現地発ボランティア(NPO・NGOなど)情報ホットライン」を運営している。

 今回の震災では、情報公開に対する公的機関の準備不足も露呈した。PDF形式のファイルなどデータが再利用しにくい形式で公開する公的機関が多かったのだ。例えば文部科学省は当初、放射線量のデータをPDFファイルで公開していた。このため民間の技術者が手作業でデータベース化し、再利用しやすい形にしてWebサイトに掲載していた。

 こうしたことを受けて、総務省のICT地域活性化懇談会は2011年6月30日、「ガバメント2.0のための情報の公開に関するルールの確立」を公表した。そこでは災害関連情報や地理情報などを、XMLやCSVなどデジタル加工しやすい形で公表することを提言している。これらが実現されれば、日本におけるガバメント2.0が急速に進むことは確実だ。