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 クラウドを使って、特定業界内の企業がコラボレーションする動きが活発になっている。クラウドを介してデータや情報システムを共有し、各社共通の事業ニーズを満たすシステムを開発したり、単独では難しい業務改革を目指したりする。業界特有の問題を解決し、ビジネスチャンスにつなげる手法として、今後も拡大しそうだ。

 クラウドによる業界コラボに取り組む一つが、運送業界である()。この1月から3月に、全国のトラック業者22社が富士通と共同で、運転品質の改善に向けた実証実験を行っている。専用の車載端末を使い、走行距離や速度、位置、エンジンの回転数などのデータを、無線通信で収集。クラウド上に蓄積したデータを富士通が分析して、急ブレーキが多発する危険地点の地図を作成したり、燃料消費の少ない運転に向けた支援サービスを提供したりする。

表●クラウドを活用した業界コラボレーションの例
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 実証実験に使うトラックは、合計で約1600台に上る。「今は運送会社が個別に危険地点地図を作成している。多数の運送会社がクラウドを使いデータを共有すれば、地図の精度は格段に上がる」(富士通の島田孝司 新規ビジネス開発本部本部長代理)。富士通はサービスの商用化も検討する。

 タクシー業界が取り組むのは、配車効率の向上だ。日本交通が昨年12月、自社開発したタクシー配車システムを、クラウド経由で全国のタクシー会社が利用できるようにした。利用者がスマートフォンのアプリを起動すると、GPS(全地球測位システム)で把握した位置情報を基に、利用者がいるその場にタクシーを配車する。

 同システムを利用するタクシー会社は、3月時点で全国13都道府県、16社。タクシー台数は8900台を超える。「タクシーの配車効率を高めることは、タクシー業界に共通の課題。クラウドを使うことで、全国のタクシー会社にまたがった配車システムを実現できた」(日本交通の川鍋一朗社長)。

 地方銀行業界でも、クラウドを介した業務改革の動きが進んでいる。横浜銀行、北海道銀行、北越銀行など6行による、MCIF(顧客情報データベース)を使ったマーケティング戦略の立案だ。各行のMCIFデータを、NTTデータが開発するクラウド基盤システム上に蓄積・分析して金融商品の効果的な販促に役立てる。

 蓄積するデータ件数は全2200万件。これは「メガバンクに匹敵する」(NTTデータで同事業を担当する大場則行課長)。クラウドを使い、地銀の規模を超えたデータ活用を目指す。