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 米デルが、総合ITベンダーへの転換を急いでいる。ストレージやネットワーク機器、運用管理ソフトなどのベンダーを相次ぎ買収。他社から調達して販売していた製品を、自社製品に置き換えている()。

表●デルによる近年の主な企業買収
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 2012年4月にはシンクライアントの米ワイズテクノロジー、3月にはセキュリティ機器の米ソニックウォールという、いずれも老舗の専門ベンダーを買収した。

 2012年2月には、社内に「ソフトウエアグループ」を新設すると共に、バックアップソフトのアップアシュアを買収している。デルはこのバックアップソフトと運用管理ソフトを柱に、ソフト事業を強化する。2010年7月には、それまでデルに運用管理ソフトをOEM供給していたスケーラントを買収済みである。

 ストレージも自社製品に切り替えた。デルは2001年10月以来、米EMC製ストレージをOEM販売していた。そのEMCとの提携を、2011年10月に解消した。

 デルは2007年にiSCSIストレージのイコールロジックを買収したのを皮切りに、NAS(ネットワーク接続型ストレージ)のエクサネットや重複排除ストレージのオカリナネットワークス、仮想化ストレージのコンペレントテクノロジーズを買収。自社ストレージ製品のラインアップをローエンドからハイエンドまで広げている。

 2011年7月に買収したフォース10ネットワークスは、大規模データセンター向けネットワーク機器のベンダーだ。いまやデルは、サーバー、ネットワーク、ストレージ、運用管理ソフトというクラウド基盤の構成要素を、自社製品だけでカバーできるようになった。

 デルが転換を急ぐのは、「ポストPC」時代に備えるためだ。デルの2012年1月期決算では、620億7100万ドルの売上高のうち、ノートPCなどの「モビリティ」が31%、「デスクトップPC」が23%を占めた。「ソフトウエアと周辺機器」は17%、「サーバー&ネットワーキング」は13%、「ストレージ」は3%、「サービス」は13%にとどまった。デルの売上高は依然として、PCが過半を占める。

 しかしPCはこれ以上の成長は見込めない。同決算ではデスクトップPCの売上高は前年度比4%減、モビリティは同1%増だった。デルは、スマートフォンやタブレット端末に浸食されるPC市場から脱出できるのか。残された時間は長くない。