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 東芝がIT事業の強化に本腰を入れる。同社の佐々木則夫社長は5月17日に実施した経営方針説明会で、「クラウドとビッグデータに対応するアプリ、システムを提供する」と強調し、ITを成長の軸に据える考えを示した()。

図●東芝の佐々木則夫社長と、成長分野と位置づけるIT分野
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 東芝は2012年3月期の連結決算で売上高が前期比4.7%減の6兆1003億円、営業利益は同337億円減の2066億円と減収減益に陥った。成長路線に戻るために、電力などの既存事業にITを組み合わせる「スマートコミュニティ」事業などを開拓。事業構造転換を進め、2014年度に7兆8000億円まで売上高を伸ばす構えだ。

 事業構造転換の先兵と位置づけるのがストレージ事業だ。東芝は今年2月、米ウエスタンデジタルから3.5型HDDの製造設備と知的財産を取得し、一方でフィリピンと中国に生産を集約するためにタイのHDD製造拠点を売却した。選択と集中を進めることで「2015年には3強入りする」(佐々木社長)。半導体事業との開発一体化を進め、今年9月にはNAND型フラッシュメモリーとHDDを組み合わせた高速HDDを出荷する予定だ。データセンター向けストレージ装置の開発も強化し、HDD/SSD事業で2015年度に8500億円の売上高を目標とする。

 クラウド展開も強化する。一つの核となるのが今年4月、米IBMから約680億円で買収し、世界シェア首位に浮上したPOS(販売時点情報管理)事業だ。「IBMと連携を深め、(小売業向けの)顧客管理やエネルギー管理のソリューションを強化し、グローバル展開も計画している」(佐々木社長)。POSを含めたリテール事業で4000億円の売上高を目指すとしている。

 さらにヘルスケア分野では、医療画像のクラウド保管サービスを拡充し、住宅分野ではスマートメーターを活用した「HEMS(家庭エネルギー管理システム)クラウド」を提供する計画だ。

 東芝の事業構造転換は、IT業界に否応なく変革を迫る。NECや富士通は環境や住宅などを成長分野と見ているが、この分野で強力なライバルが浮上することになるからだ。ストレージ分野でも、業界の勢力図が塗り替えられる可能性がある。合従連衡も含め、台風の目となりそうだ。