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 米マイクロソフト(MS)が、企業向けソフトの提供形態を、クラウドに適応した形に変え始めている。2013年上期までに発売する予定の次期「Office」は、パッケージ販売するだけでなく、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「Office 365」に組み込み、月額料金制でも提供する()。

表●Officeの月額料金制提供に力を入れるマイクロソフト
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 MSはこれまで、大企業向けのSaaS「Office 365 Enterprise」でのみ、電子メールなどのSaaSに加えて、デスクトップ版Officeも月額料金制で提供していた。ユーザーはSaaSの利用IDにひも付けてデスクトップ版Officeを最大5台のPCにインストールできる。

 今回、小規模企業向けの「Office 365 Small Business Premium」を追加し、同様の使い方をできるようにした。電子メールなどのSaaSが不要というユーザーを対象に、デスクトップ版Officeだけを月額料金制で提供する「Office 365 ProPlus」も追加した。

 日本以外の国では、消費者向けの「Office 365 Home Premium」も提供する。このほか次期Officeでは、デフォルトのファイル保存先をMSのストレージサービスである「SkyDrive」にするなど、クラウドとの融合を強める。

 MSが月額料金制でのOffice提供を強化する背景には、同社のネット広告事業におけるつまずきがある。MSは2000年代後半、米グーグルに追従して、広告収入をベースとした無料のSaaS提供を試みていた。2007年5月には、ネット広告会社の米アクアンティブを60億ドルで買収した。

 しかし、この戦略はうまく行かなかった。ネット広告事業が振るわないことから、2011年第4四半期(2012年4~6月)には、アクアンティブののれん代償却で61億9000万ドルの損失計上を強いられた。そのため同四半期決算は、MSが上場して以来初めてとなる最終赤字に沈んだ。MSは広告モデルによるSaaS提供を断念し、利用料金モデルにシフトした。

 2012年10月に発売する「Windows Server 2012」では、プライベートクラウド構築に適したエディションの販売を強化する。

 OSのエディションを「Datacenter」と「Standard」の二つに絞る。Datacenterは、仮想マシンにOSをいくつでもインストールできるエディションだ。Standardは、OSを2個インストールできる。OSを4個インストールできた「Enterprise」エディションを廃止し、多くの仮想マシンをリソースプールとして運用できるDatacenterにユーザーを誘導する考えだ。