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 個人の行動履歴や嗜好などを基に、次に起こすであろう行動を予測すること。ビッグデータを活用し、行動と行動の相関性や発生条件、発生確率などを導き出すことによって、次の行動の内容やタイミングを予測する。

 これをマーケティングに適用すると、顧客が欲する商品やサービスを欲するタイミングで訴求できるようになる。現在は同時購入する傾向が強い商品やサービスを、購入時に推奨する「レコメンド」が主流だ。一方、行動予測を用いれば、購入時は必要性を感じない商品などを、購入後に必要になるタイミングで推奨し購入を促すことが可能になる。

 例えば洋服を購入した人に対して、数週間後にクリーニングサービス、数カ月後に保管グッズや保管サービス、数年後にリサイクルサービスを紹介するようなことが可能になる。ほかにも、クレームや悪評につながる可能性がある場合に、先回りして顧客の不満を解消する情報やサービスを提供するといった使い方もできる。街を設計する際に、人の動線を予測して事故を減らすなど、最近では社会インフラの分野でも行動予測が活用され始めている。

 行動予測に関する研究は長年にわたって行われており、統計的な手法もある程度は確立されていた。しかし、行動を予測するためのデータが少なく予測の精度がそれほど高くなかったことや、個々の消費者ごとに予測するにはシステムの処理性能が足りなかったことなどの理由から、なかなかビジネスでは活用されなかった。だが、ビッグデータに関する技術が進んだことで実用化が一気に進んだ。

 理由の一つが、個人の行動を追跡できる様々なデータを収集できるようになった点だ。例えば、スマートフォンなどのGPS(全地球測位システム)を使えば、行動を起こした場所を特定できる。ポイントカードを使うことで、いつどの店で何を買ったのか、などを把握できる。ネットショッピングの購買データや、その前後のSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)への書き込み、気象データなどと組み合わせて分析すれば、行動に起因する言動や感情、周囲の状況なども把握できる。

 もう一つの理由が、構造化されていない膨大なデータを素早く分析するためのソフトウエアやハードウエアが登場したことだ。分散データ処理を実現する「Hadoop」や、メモリー上で高速処理する「インメモリーデータベース」などの登場である。従来は、位置情報や購買情報、SNSへの書き込みといった膨大な量のデータ分析は、半日から数日かかっていたが、これらを活用することで数分から数時間でできるようになった。

 とはいえ、ユーザー企業が単独で膨大なデータや予測システムを用意することは難しい。そこでITベンダー各社は、行動予測を支援する様々なサービスを提供し始めている。例えば、富士通はSNSのデータだけでなく、それと組み合わせて分析する気象情報や地図情報を提供するサービスを2012年12月から開始。ウイングアークはセールスフォース・ドットコムなどと共同で、購買行動を予測するサービスを2013年春から始める。今後、こうした行動予測関連サービスが拡充しそうだ。