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表●総務省が主催した「ミャンマーICT官民ミッション」の参加企業・団体
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 NTTコミュニケーションズ、NEC、NTTデータ、KDDI―。ミャンマーの首都ネピドーに、日本の大手ICT企業の幹部が集結した。総務省でICT産業の国際展開を担う情報通信国際戦略局が主催した「ミャンマーICT官民ミッション(訪問団)」の参加者だ()。

 総務省とICT企業など25社・団体からなる訪問団は2013年1月22日から23日にかけてミャンマーを訪れ、政府要人などに日本企業が手掛けるICTインフラとICTソリューションをアピールした(写真1写真2)。

写真1●ミャンマー国家計画・経済開発省のカン・ゾー大臣と会談する、訪問団の主要メンバー
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写真2●ネピドーでのワークショップに臨む、訪問団の主要メンバーとミャンマーの政府関係者
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 ICTインフラ分野については、KDDIが現地での携帯電話事業に参入したいとの考えを示した。NTTコミュニケーションズやNEC、日立製作所は、基幹ネットワークや無線網の構築・運営、通信設備の導入に意欲を見せた。

 ICTソリューション分野については、NTTデータが貿易手続きや通関業務を支援するシステム「NACCS」や自動車登録検査の支援システム「MOTAS」といった日本での実績を紹介した。航空測量大手のパスコは地図情報を活用した災害対策ソリューションを、NECは生体認証の仕組みを、日立製作所はスマートシティの取り組みを、富士通は農業分野でのICT活用事例をアピールした。

 これらのICTソリューションとICTインフラを組み合わせて一括提供するのが、日本側の描くシナリオである。アジア最後のフロンティアと呼ばれるミャンマーには世界中の企業が注目しており、ICTインフラだけでは差異化を図るのが難しい。訪問団には総務省の柴山昌彦副大臣も同行、「日本企業は付加価値の高いICTサービスを提供できる」と訴えた。

 訪問団に先駆け、2013年1月3日には麻生太郎副総理兼財務・金融相が安倍晋三新内閣の外交第一弾としてネピドーを訪れテイン・セイン大統領と会談、経済改革の支援を続ける考えを表明した。

 この直前の2012年12月28日には、外務省がミャンマーへの無償資金協力案件「通信網緊急改善計画」を発表済みだ。基幹通信網の強化や無線アクセスポイントの整備などに最大17億1000万円を無償資金協力する、政府開発援助(ODA)である。ミャンマーのICTインフラ整備は遅れており、携帯電話とインターネットの普及率は2011年時点でそれぞれ5%と0.3%にとどまる。

 訪問団の提案に対して、ミャンマー側は「日本の先進的な技術と経験を学びたい」(通信・情報技術省のタウン・ティン副大臣)、「国の発展にICT活用は重要。日本に期待したい」(国家計画・経済開発省のカン・ゾー大臣)、「日本には親近感を持っている」(投資委員会のソー・テイン委員長)と、歓迎の姿勢を示した。

海外との競争に勝てるか

 “日の丸ICT”の売り込みに向けた課題は、ミャンマー政府の政策実行や行政処理に時間がかかっている点だ。「貴国の計画通り、2013年6月までに都市間の光ケーブルを敷設してほしい」「日本企業が申請した会社設立などの手続きを速やかに進めてほしい」。総務省の柴山副大臣は日本企業の声を代弁する形で、タウン・ティン副大臣などに依頼した。

 日本企業における新興国進出の動きを巡っては、「日本企業は決断が遅い」といった報道が目立つが、ミャンマーのICT分野については同国側がボトルネックになっている。ICTを管轄する通信・情報技術省の大臣が1月半ばに突然辞任するという混乱もあった。

 「受注に至るまでには時間がかかるだろうし、苦労も相当あるだろう」。ミッションに参加した、あるICT企業の幹部はこう漏らす。だからといって及び腰になると、欧米や韓国などの企業にさらわれてしまう。日本の訪問団と同時期に韓国やフランスの代表団もネピドーを訪れていた。米国やドイツの企業はミャンマーに専門家を送り込み、ICT関連の規制作りや入札などを支援している。

 「後には引けない。前進あるのみだ」。前出のICT企業幹部はこうつぶやく。

省庁の枠を超え取り組む
(写真:丸毛 透)

総務省副大臣
柴山昌彦 氏

 ミャンマーの人々は親日的なだけでなく、メンタリティーが日本人に近いと感じた。ミッション参加者のレンタカーが故障して移動ができなくなり途方にくれていたら、通りかかった現地の方が乗せてくれて、しかも目的地まで送ってくれたそうだ。迷子の子どもを見つけた大人たちが一生懸命に親御さんを探していたのも印象的だった。このように、現地を訪れて初めて国民性が分かったこともミッションの成果だ。

 日本の多くのICT企業がミャンマーに強い関心を示す中、私が副大臣として参加してミャンマー側と政務トップレベルでの議論ができたこと、日本のICTの優位性を直接アピールできたことにも手ごたえを感じている。

 ICT分野以外でも、ミャンマーは交通渋滞や停電などの社会問題を抱える。訪問中も何度か停電に見舞われた。こうした問題に対して各省庁(と業界)が個別にアプローチするのではなく、合同で解決策を提案していくべきだ。省庁の枠を超えて取り組めるように、政務トップレベルでの意思疎通を図っていきたい。(談)