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 商品やサービスを購入するという行為や、購入に関わる行動を通じて得られる、目に見えない価値のこと。「カスタマーエクスペリエンス(顧客経験)」などとも呼ばれる。

 経験価値は、マーケティング分野における考え方の一つである。「電子メールでの問い合わせに迅速に返信してくれた」「店員の接客がとても丁寧だった」といった経験が、顧客の維持やロイヤルティーの向上に効果があるとしている。商品やサービスそのものを中心に差異化を考える従来のマーケティング手法に対する新たな考え方として、2000年前後に提唱された。商品やサービスのコモディティー化が進み差異化が困難になっている一方で、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やスマートフォンの普及で企業と顧客との接点が増えたため、改めて注目を集めている。

 企業が経験価値によって競争力を高めるには、自社の商品やサービスの購入前から購入後までの各段階で、顧客に「心地良い経験」を与えることが大切になる。実際に経験価値を提供するのは、店舗の雰囲気や店員の接客態度、営業担当者や保守サポート担当者の応対、さらにEC(電子商取引)サイトの使いやすさや問い合わせへの回答の早さ、などである。

 同じ商品・サービスであっても、経験価値によって差異化を図れる。喫茶店を例にとると、「コーヒー」という商品は同じであっても、「店員の接客が丁寧で、高い器でコーヒーを出す」喫茶店と、「セルフサービスでプラスチックのコップでコーヒーを出す」喫茶店では提供する経験価値が異なる。前者では「優雅なひと時を過ごせる」、後者では「手早くコーヒーを味わえる」といった価値をそれぞれ提供する。

 SNSやスマートフォンを活用して、経験価値を高めようとする取り組みも増えている。一例が「アクティブサポート」である。

 アクティブサポートは、顧客がTwitterやFacebookなどのSNSに投稿した自社に関する不満を探し出して、顧客に謝罪したり疑問に対して回答したりするサービスだ。顧客が自社に直接送ったわけではない不満や疑問に対応することで、顧客が「うれしい」「助かる」などと感じるような経験を提供できる。

 経験価値を高めるには、情報システムの活用が欠かせない。SNSやスマホの活用に加えて、複数チャネルに散在している顧客データの一元化や、コンタクトセンターの構築なども経験価値を高めるIT投資となる。