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図8●日本製ソフトやシステムの海外展開を成功させるための五つの鉄則
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 日本製ソフトやサービスの海外展開を成し遂げるにはどうすればいいのか。海外市場で成功を収めている日系IT企業の取り組みを詳細に見ると、五つの鉄則が浮かび上がってくる(図8)。

鉄則1
アジアを目指す

 日本製ソフトやサービスの海外展開を考える場合、真っ先にアジアでの販売を検討する。

 アジアは成長市場であり、しかも欧米に比べてシステム化が進んでおらず今後のニーズが見込める。IDCJapanの調査によれば、中国およびASEANのIT市場は2012年から2016年にかけて、1.4~1.5倍の成長を遂げる見通しだ。新規のIT投資が多く、他の地域に比べて案件を獲得しやすい。

 2015年のASEAN統合に際しては、関税の変更や物流網の発展などに伴い、システム化の需要がさらに高まるとみられる。タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムといったメコン経済圏の進展も期待できる。

 日系IT企業の強力なライバルである欧米IT企業の進出も国によってはそれほど進んでおらず、さらにアジアは日本から地理的に近い。これだけの優位を生かせるエリアは、他にはない。

 製造業を中心に日本企業の進出が加速しているのも、日系IT企業には追い風だ。

鉄則2
「現地化不要」分野で勝負

 国や地域によって仕様を変更する必要がない分野で勝負する。違う言い方をすると、グローバルで仕様が共通する分野を選ぶ。

 ローカライズが不要であれば、導入時の手間がかからず収益性も高まる。短い期間で導入を完了できるため、複数のプロジェクトを立て続けにこなしやすい。横展開がうまくいけば、さらに利益率を高められる。

 完成品を持ち込むことで、顧客にプロトタイプを見せやすくもなる。新興国では、実際に動作するシステムを目で見て直接使ってみて、それから導入を判断したいという声が多い。そうした期待にも応えやすくなる。

 NTTデータの飛行経路設計システム「PANADES」は、海外販売開始から3年間で黒字化のメドをつけている。飛行経路の設計という国際的なルールに沿った業務を対象にしたことが成功の最大の要因と言える。

鉄則3
業務ノウハウを生かす

 日本で蓄積した、日本ならではの業務ノウハウを最大限に生かす。

 東日本大震災を踏まえた防災関連業務は、特に有望な分野と言える。大規模災害を経験し、防災業務そのものをこなした実績が、付加価値になるからだ。事実、台湾当局は「防災クラウド」を構築するにあたって、NECの防災分野での取り組みを評価した。

 他にも、日本の製造業の生産管理ノウハウが詰まった生産管理ソフト、コンビニエンスストアや物流といった効率化が進む分野の業務ソフトは、海外で受け入れられる可能性が高い。

鉄則4
とことんシンプルに

 搭載する機能は最小限に絞り込む。そして、現地の物価に即した価格で売り込む。機能をシンプルにすれば、開発費や販売後の保守費を削減できる。導入スピードの向上にもつながる。

 機能を抑えると製品自体の魅力が向上する、との見方もある。例えば、「インドネシア企業はシンプルな機能や画面を好む傾向がある」(インドネシアのIT企業、ICSの伊藤為夫CEO)という。

鉄則5
売れるまであきらめない

 海外ビジネスは困難だらけだ。特に新興国が中心のアジアは、多くの国で日本や欧米などのようにビジネスインフラが整っていない。「試しに進出してみよう」という中途半端な気持ちでは、間違いなく失敗するだろう。

 それでも覚悟を決めて進出するのであれば、決してあきらめないことだ。あきらめなければ、日系IT企業の海外ビジネスは必ず伸びていくはずである(図9)。

図9●主な日系IT企業における2012年度の海外売上高と海外売り上げ比率
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 NTTデータのアジア太平洋地域統括会社、NTTデータアジアパシフィックの深谷良治CEOは、グローバル化に向けた心構えについて次のように語る。「将来を真剣に考えると、苦労を覚悟の上でいま海外を開拓しておかなければならない。たとえ社内で反対されたとしてもだ。海外、特にアジアを攻めるという志に同意してくれる人を一人ずつ増やしていくしかない。それも仕事のうちだ」。

 五つの鉄則を踏まえれば、海外の道は必ず開ける。