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 日本生命保険が2015年4月の稼働を目指し、会計システムを刷新中だ。2014年3月に開発・テストを終え、4月から利用者教育に着手する()。主計部兼財務企画部の竹内基調査役は、システム刷新の狙いを「大量の帳票を使い、データ集計に人手をかける現行業務の改革」と説明する。ペーパーレス化を徹底し、「働き方そのものを変える」(竹内調査役)考えだ。

図 日本生命保険の会計システム刷新プロジェクトの経緯
利用者教育に約1年を充てる
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 業務改革に向け、ERP(統合基幹業務システム)パッケージを採用。30年近く利用していたメインフレームをオープン系にリプレースする。大手生保でERPを採用する例は少なく、「金融に加え製造業のERP利用企業に話を聞いた上で、ERPを使えるかどうかを見極めた」と竹内調査役は話す。

 加えてERPの機能を利用し、これまで印鑑と帳票を利用していた会計処理でペーパーレス化を実現する。会計データの一元化による管理会計の精度向上なども目指す。

 日本生命はERPパッケージとして、日本オラクルの「Oracle E-BusinessSuite(EBS)」を採用した。EBSを選んだのは「開発の柔軟性を重視した」(竹内調査役)ため。保険を管理する基幹系システムとの連携部分が多く、追加開発のしやすさを条件の一つとした。ERPを採用すれば、2014年4月の消費増税や、欧州で検討されている自己資本比率の規制「ソルベンシー2」などへの対応も容易になると判断した。

50人の利用者が要件定義

 業務改革を実現するため、要件定義の際は利用部門の要件をゼロから聞くのではなく、ERPの標準機能を利用する方針を採った。利用部門の代表者であるプロセスオーナーがEBSの画面を見て「機能をそのまま利用できるかどうか」を確認する方法で進めた。

 プロセスオーナーは、主計部のほか、購買部、総務部などに所属し、会計システムを実際に利用する事務担当者約50人が務める。各オーナーは1日の業務を想定して、確認作業を実施した。

 使用する機能をプロセスオーナーが決める形にしたのは、「慣れ親しんだ業務の変更に抵抗感を持つ人もいるので、現場の理解と参加を促す必要があったからだ」と竹内調査役は説明する。各オーナーは現場の業務と兼務しながら半年以上、週に数時間を機能の確認に費やした。日本生命独自の機能の開発を減らし、開発・テスト期間を1年に抑えた。

 現場の理解を促進するために、利用者教育も徹底する。開発・テストと同じく約1年をかける計画だ。旧システムと新システムを並行稼働させるこの期間に、新システムの操作や、新システムを利用した業務に慣れてもらうようにする。新システムは全国360超の拠点で1000人以上が利用する見込みだ。操作方法を示した動画を作り、操作教育を効率化する。

 投資額は数十億円になるとみられる。システムの構築はアビームコンサルティングとニッセイ情報テクノロジーが支援している。