社長の疑問に答えるIT専門家の対話術
目次
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[第67回]システムの価値を一枚の図に 関係者が協力して書き上げる
「その情報システムは誰に、どのような価値を提供できるのか」。開発に先立つ計画段階で議論すべきことだが案外できていない。米スタンフォード大学の石井浩介教授は価値の分析手法を作った。様々な関係者が対話し、図をまとめることで価値を共有できる。
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[第66回]「業務もシステムも未経験」 その彼を社長が選んだ理由
社運を賭けた情報システム開発の責任者は経営トップが選ぶ。いったん決めた後は責任者に委ね、トップは後方支援に徹する。ユーシーカードの元社長、辻野猛氏はこのやり方で成功を収めた。日々の管理は一任しつつ要所では責任者ときっちり話し合った。
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[第65回]システム課長は動き回れ それが部下を育てる鍵
経営者や事業部門長と対話をしつつ、部下のSEを育てていく。情報システム部課長とIT企業のSEマネジャーに共通する任務である。そのためにも部課長は他部門に行き、顔を売らなければならない。両方を経験した馬場史郎氏(『SEを極める50の鉄則』著者)はこう指摘する。
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[第64回]プロはミッションに忠実 前例に従わなくてもよい
プロフェッショナルはミッション(使命)に忠実である。その達成のためなら前例にこだわらず新しいやり方を取り入れる。峯本展夫氏(プロジェクトプロ代表)は経験を踏まえてこう語る。この姿勢があれば社長など上位の関係者と対話し、説得できる。
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[第63回]ソフト内製はゼロから可能 習って覚えて真似をする
技術者が皆無の状態からソフトウエアを内製する体制は作れる。石井孝氏(元NTT常務、元NTTコムウェア社長)は断言する。NTT誕生時、真藤恒社長の指示を受け、5年間で内製にこぎつけた。成果を早く出すことに注力し、技術者たちに自信を持たせた。
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[第62回]抵抗無きプロジェクトは幻 嫌がる人を味方に付けよう
プロジェクトは年々難しくなる。抵抗する人は相変わらず出てくる。神庭弘年氏(PMI日本支部監事、神庭PM研究所所長)はこう見る。プロジェクトマネジャーは嫌がる人を味方に付けなければならない。そのための手段の一つが「プロジェクトチャーター」である。
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[第61回]システム効果は説明困難 実験で体感してもらう
経営者と対話し、説得する力が情報システムのプロには必要である。どのような状況でどう説明したら分かってもらえるのか。先達から体験談と実際に使った決め台詞を教えてもらおう。今回は横塚裕志氏(CeFIL・情報サービス産業協会理事長)に尋ねた。
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[第60回]仮想的だが現実を変え得る それがITとソフトウエア
時には、ITやコンピュータ、ソフトウエアの本質を考えてみたい。一言で表現すると“Virtual”ということではないだろうか。ITが作り出す何かは仮のものだが、効果は事実上のものと変わらない。実際に存在するのはソフトであり、それは手作業によって作られる。
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[第59回]試作と動画でアイデア検証 ITの新しい「やり方」を知る
「うちの情報システム部門は新しいIT(情報技術)を知らない」。経営者や事業部門がこう言う場合、重要な指摘を含んでいる。最新ITが刺激になり実現すべきアイデアが変わってくるからだ。新しいITに触り、使い、刺激を得る体験を意識的に積むとよい。
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[第58回]人工知能は仕事を奪える だが人間を超えられない
AI(人工知能)の影響について社長から尋ねられたらどう答えるか。現状を伝えつつ、機械系への応用など可能性を指摘してはどうか。ツールではなくシステムとしての利用が求められる。ただし、AIが人間を超越する日が来る見込みはない。
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[第57回]プロジェクト期間を縮める 締切日にとらわれない工夫を
プロジェクトの期間を縮めるように経営陣が命じてきたらどうするか。難題だが、期間短縮を図る手法「CCPM」で実現している企業もある。担当者に締切日を意識させず、一つの仕事に専念させるやり方だ。現場の意識改革を伴うため、責任者には揺るがぬ姿勢が求められる。
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[第56回]アイデアを生み、ITで実現 そのための「デザイン思考」
「事業を強くするアイデアを出し、ITで実現を」。社長はこう期待する。情報システム部門は事業についてもっと考えなければならなくなる。2000年代から取り沙汰される「デザイン思考」はそのために有用である。要は問題発見や仮説抽出のやり方であり、誰でも実践できる。
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[第55回]古くて新しい「生産性革命」 成否の鍵は経営者と従業員
企業は「生産性革命」に取り組んでほしい、政府がこう強調している。「第4次産業革命」と呼ぶ場合もあり、IT(情報技術)の利用がついてまわる。ITを使った生産性の向上は古くからの課題であり、王道はない。仕事のやり方をどこまで変えられるか。経営者と従業員次第である。
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[第54回]誰でも分かる五つの基本語で 流行語に惑わされない意思疎通を
経営者とシステム責任者の意思疎通が進まない理由の一つが流行語だ。過去の言葉の焼き直しを経営者が新しいと感じると厄介なことになる。混乱を避けるために、誰でも分かる基本的な言葉を使ってはどうか。システムにとどまらず、事業や製品の開発にも使える基本語を考えてみた。
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[第53回]デジタルになるマーケティング システム部門は協力すべき
ある調査によれば経営者は顧客接点でのデジタル技術利用に関心を持つ。その担い手としてCMO(チーフマーケティングオフィサー)が注目を集める。情報システム責任者のほうからCMOに協力を申し出てはどうだろうか。両者は共通の悩みを抱えており、本来なら連携し合える間柄である。
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[第52回]労働・雇用の問題が浮上 IT関連について再確認を
労働や雇用の改革が2016年の企業経営における重要事になりつつある。首相が先頃、「長時間労働の抑制」「同一労働同一賃金」に言及したからだ。情報システムの責任者は自部門そして全社の改革に取り組む立場である。さらに業務を委託しているIT企業の労働に関しても配慮が求められる。
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[第51回]世界の経営者は技術に関心 日本企業の3割が次の一手
複数の調査で世界の経営者は「技術」が自社に影響を与えると答えていた。技術によって新たな事業が生まれ、それが機会にも脅威にもなるからだ。こうした「デジタルビジネス」に日本企業の3割が着手している。情報システム部門は関わり方を検討し、方針を決める必要がある。
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[第50回]どういう人材を採り、育てるか 「ソフトウエア実現力」で判断
「どのような力を持つ人が必要か」「どうやって獲得し育てていくのか」。人材像と育成策は経営者が全ての部下に聞きたいことの一つである。情報システム部門の任務は組織の目的に合うソフトを実現すること。「ソフトウエア実現力」がどの程度なのか、自問自答してみよう。
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[第49回]今年こそ難題に着手 先送りを止める方法
「今年は頼む」「はい」。新年早々なら社長との対話はこの程度で済む。今後重要だと申告した目標に向かって直ちに動き出したいところだ。ところがそうした目標には難題が含まれており先送りしたくなる。実施すべき活動を細かく分け、毎日取り組み、慣れてしまうとよい。
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[第48回]将来の目標を見出す方法 「三つの質問」に答える
「これからどうする」。年末や期末に経営者から問われたらどう答えるか。情報システム責任者として将来の目標は必要だが決めるのは難しい。「三つの質問」に答え、重要な目標を見つけ出してはどうだろう。もともとは個人向けの方法だが、情報システム部門にも応用できる。