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クラウドソーシングを通じて、世界の人々と協業するのにやはり英語は欠かせない。前回紹介した通り、フィリピンへの語学留学は米国や欧州に比べて距離も近いし費用も安い。短い留学期間を有効に活用するためには、事前に準備しておいた方がよいことがある。準備のポイントと、知見を広げるための他の参加者との交流や余暇の過ごし方を紹介する。

 一般的に留学というと高校や大学、あるいはMBA(経営学修士)など高度な教育を受けるために海外に渡るイメージを持っていますが、フィリピン留学は純粋に英語のトレーニングを目的としているため、そこにやってくる人たちは千差万別です。

 筆者が滞在したときには、仕事を辞めて、あるいは大学を休学して英語を学びに来ている人、会社の有給を使って1~2週間学びに来ている人、ベンチャー企業の経営者やフリーランスで仕事をしている人、リタイアした高齢層の方々、長期休暇期間の学生などがフィリピンで英語を学んでいました。

 特に多いのが会社を辞めて、あるいは大学を休んで来ている人たちです。この方々は、背水の陣でフィリピンにやってきているので学ぶ意欲や自分のキャリアに対する意識がとても高く、筆者は彼らから多くの刺激を受けました。会社を経営していたり、個人でフリーランスで仕事をしていたりする人たちの多くは、アジア全域をビジネスのフィールドにしていました。アジアの最新経済事情や、ビジネス習慣などにも詳しく、日本で新聞やニュースを見ているだけではなかなか手に入らないような情報をたくさん得られたことも大きなメリットでした。

文法用語を英語で覚えておく

 筆者はほとんど準備も知識もないままに語学学校に申し込み、すぐにフィリピンに飛びました。いざ体験してみると、英語について事前にこなしておけばよかったと思うことはやはりいくつかありました。

 一つは文法を押さえておくことです。英語には5文型や現在形、完了形など基本的な文法構造が存在します。この点を押さえないまま留学に出かけると、そこから学び直さなければなりません。フィリピンに行ったとしても、特効薬的な英語学習の手法などはありません。日本でできることは事前に済ませておくことで語学研修をより良いものにできるでしょう。

 文法用語を把握しておくことも重要です。日本での英語の授業と、海外での語学研修の最も大きな違いは、英語の授業そのものが英語で行われる点にあります。日本人の多くは「goの完了形」が「gone」であることは知っていても、「現在完了形」という言葉そのものを「present perfect」と呼ぶことを知りません。

 同様に「verb」(動詞)や「noun」(名詞)、「plural」(複数形)、「article」(冠詞)など英語で最も基本的な文法用語を英語でどのように表現するのか知らないわけです。海外に出かけても文法か、と思うかもしれませんが、文法をしっかりと学ぶことが英語を身に付けるための近道なのです。これは、フィリピンで優秀な先生たちが口をそろえて言っていたことです。

 ボキャブラリーを増やしておくのもよいでしょう。それほど優先度は高くはないのかもしれませんが、基本的な文法をマスターした後、次にもっと多彩な表現やハイレベルな議論などをしたいと思えばどうしても必要になります。ただし、文法を知らないで単語だけ覚えてもなかなか使いこなせないので、余裕があれば事前に取り組むくらいで考えておきましょう。

リスニング力の向上にも文法は必須

 リスニング力を鍛えることもまた大きなポイントです。フィリピンの先生たちが声をそろえて最も重要で、また大変なのがリスニングだと言っていました。相手がどんな単語を発しているのか聞き取って文章として理解するには、その骨格である文法や単語を知っていなければなりません。日本にいる間にリスニングのトレーニングを積めれば理想です。

 欧米への留学に比べればかなり安いとはいえ、フィリピンへの語学留学はやはり時間的、金銭的に大きな投資となります。その貴重な投資を実りあるものにするために、しっかり準備しておけば、得られる成果も必ず大きくなると思います。

長期の滞在なら周辺国巡りも

 せっかくフィリピンにまで語学研修で来たのなら、英語の猛特訓のみに明け暮れるのではなく、観光やレジャーに出かけることも良い経験になるでしょう。アジアでは格安航空会社(LCC)のエアラインネットワークが発達していて、国境を超えて行き来することが想像する以上に簡単になっています。

写真1 マニラやジャカルタなどの大都市には、超巨大なショッピングモールが多数存在している。すさまじい勢いで成長している都市を見ることもまたよい経験になる
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 インドネシアやマレーシア、シンガポール、香港など、それぞれの国はまた違った文化や特色を持っています。「フィリピンの周辺国を旅して回る」ということを語学留学の一つの目標にすれば、大変な英語の勉強も頑張れるのではないでしょうか(写真1)。

 フィリピンの語学研修は1週間単位のサイクルが繰り返されています。限られた期間にこれほど多くの人たちに出会い、毎日を過ごすことは人生にそう何度もあることではないでしょう。そこで得られた友情や人脈は、フィリピンを後にして2年近くを経た現在でも非常に強固で、当時と変わらない刺激を与えてくれています。

 筆者はフィリピンでの語学研修で英語の勉強をすると同時に、クラウドソーシングをいかにして活用するか、国際分業におけるチームマネジメントはどうすべきか、外国為替や各国の税制はどうなっているかなど様々なことを調べ、帰国後に取るべき事業戦略を必死に練りました。

写真2 当社の開発風景。フィリピンで出会った若者たち と共に、英語とクラウドソーシングを駆使してソフトウエア 開発を日々続けている
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 その結果が現在運営している「YourDays on Lifebook」です。現在はフィリピンで出会った有能な若者たちと一緒に、毎日英語を駆使しながらクラウドソーシングを活用してオフショア開発を続けています(写真2)。



筏井 哲治(いかだい・てつはる)氏
ピアズ・マネジメント 取締役
1977年富山県生まれ。東京理科大学理学部卒業後、ベンチャー企業でソフトウエア開発に従事。2003年アイ・ティ・フロンティアに入社。05年マイクロソフト(現日本マイクロソフト)に入社。日本法人初のソフトウエア開発製品(Visual Studio)テクノロジースペシャリスト。08年北陸支社に赴任。09年北陸支社長だった中林秀仁氏と共にマイクロソフトを退職し、金沢市でピアズ・マネジメントを設立。現在はソーシャルメディアデータをリアルに製本するサービス「Your Days on Lifebook」を開発・運営している。