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 「使い勝手がよく,直感的に使え,予知能力のあるデバイスの開発に,この場にいる開発者とそのコミュニティ全体で取り組んでほしい」。米国サンフランシスコで開催中のIDF 2005 Fall 3日目の基調講演で,米Intel社Corporate Technology Group Director兼Senior FellowのJustin R. Rattner氏はこのように,ユーザーの意図に沿ったサービスを実現するプラットフォームの必要性を会場に詰め掛けた開発者に訴えた。

 今年春の前回IDFでRattner氏は,コア数が4個超の「メニイコア」時代のプラットフォームについて,並列プログラミングの負担を軽減する「Platform 2015」と呼ぶ構想を披露している(関連記事)。今回のIDFでは管理者やコンシューマ・ユーザーの視点から,利用に伴うストレスを減らす研究に言及。ユーザーが扱うデバイスやデータの増大にともなう使い勝手の低下を避けるには,企業と家庭とを問わず,自律的な制御を取り入れたコンピューティング環境が不可欠という認識が背景にある。

 Rattner氏が基調講演で実演したデモは,ユーザーの作業の手間を軽減する技術が中心だった。身近な例として,「Diamond」と呼ぶ米カーネギーメロン大学および米ピッツバーグ大学と共同開発中の類似画像の検索アプリケーションや,サーバー室の空調が故障した場合に,複数あるサーバー群の中で温度が上昇したサーバーに割り振る処理を減らして熱破壊を防ぐ負荷分散機能のデモを行った。

 人間の判断速度が追いつかない例として「ネットワーク・システムに侵入したワームの感染拡大」を挙げ,ネットワーク・セキュリティを自律的に維持するシステムも紹介。ネットワークを流れるパケットの特徴から不正なアクセスを検知・遮断する機能を備えたネットワーク・カードの試作品を披露した。パターン・ファイルに一致するパケットを排除するのではなく,あらかじめ与えた学習データに基づいて不正なパケットを識別する。

 自律動作に利用する各種情報の取得に有用なのがセンサーネットワーク。一例として,Rattner氏は無線による機器管理に触れた。無線LAN機器の信号強度によって距離を判別し,三角測量の要領で位置を求める。ただ同社の実験によると信号強度による距離測定には15~20mの誤差がある。そこで無線LAN機器間でやり取りするパケットの往復時間も判別に使うようにしたところ,測定誤差をほぼゼロにできた実験結果を示した。

 自律制御は「管理する側」と「管理される側」の距離に起因する無駄な時間を節約できるのも利点だ。一例として挙げたのは,Pentium M 768(1.4GHz動作)コアとチップセットのメモリー・コントローラ部分(855GMのノースブリッジ),およびCMOSを使ったレギュレータを1パッケージに混載したSoC(System on a Chip)チップ。チップ内で電源制御を完結することで,電圧の上げ下げにかかる時間を短縮。これまでの外部レギュレータによる制御に比べて30~35%消費電力を削減できるとした。これにより20~40分バッテリ駆動時間を延長できたという。製品化の時期は未定である。

米Intel社