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 8月29日、総務省は「住民基本台帳カードの利活用手法等に関する検討会」の第2回会合を開催した。同検討会は、今年3月末時点で発行枚数が全国で約54万枚(人口比0.4%)と伸び悩む住基カードの普及促進を目的として、問題点と解決策の議論を深めるために総務省が7月に設置したものだ。今回は、自治体の住基カードの普及に向けた取り組み事例発表に続き、問題点と解決策についての議論が行われた。

 まず、比較的住基カードの普及率が高い自治体が事例を発表した。例えば住民の4.84%が住基カードを取得している長野県の伊那市、駒ヶ根市、高遠町など10市町村が構成する上伊那広域連合。同連合は、住基カードを印鑑登録証として使用できるように条例を制定。住民票、印鑑証明といった各種証明書の自動交付機を4カ所に設置し、住民が365日午前7時~午後8時までの時間帯で証明書を受け取れるようにした。

 岩手県紫波町は、住基カードを所持している住民には町が経営に参加する温泉施設などの割引サービスを提供するなど、具体的なメリットを打ち出した。また、地域のショッピング・センターの協力を得て、住基カードを取得した住民は、購買時に得られるポイントが2倍になるようにした。宮崎県宮崎市は印鑑登録証を2009年3月に住基カードに切り替える方針を打ち出すことで、17.9%の普及を実現。印鑑登録証を所持している住民全員に郵便で文書を送付し、住基カードへの切り替えを呼びかけたことが奏功した。

 一方、普及率が伸び悩む自治体も実情を発表した。千葉県市川市の普及率は0.8%。印鑑証明や住民票の自動交付機も6台用意しているが、月の平均利用者はわずか十数人にとどまる。市川市では、東京など近隣の自治体と住民が行き来することが多いのに市内でしかサービスが提供できない、民間サービスとの連携が制度的に難しい、外国人は利用できないなどの課題を指摘している。

 市川市の悩みは、多くの自治体で共通したものだ。だが、現時点で決定的な解決策はない。自治体からは「正直、住基カードというだけで、住民や企業から不信感をもたれる」という率直な意見も出た。

 電子政府・自治体の目的は、住民・企業へのサービスを向上すると同時に、行政の業務を効率化すること。住基カードの普及は、そのための手段に過ぎない。「住基カードの現在のあり方にとらわれず、法改正を含めた抜本的な議論に踏み込む必要がある」と、ある電子自治体関係者は漏らす。