ヤフーは8月30日、ショッピングサイト「Yahoo!ショッピング」やオークションサイト「Yahoo!オークションストア」の店舗における、クレジットカード情報の保護対策を強化すると発表した。店舗が顧客のクレジットカード情報に接触する必要のない、カード決済の仕組みを導入するとともに、店舗でのセキュリティ対策も強化する。7月末から8月上旬にかけて楽天市場やビッダーズで発生した、個人情報流出事件を受けて、ヤフーも個人情報保護を強化することを決めた。
発表した対策は全部で四つ。(1)店舗が顧客のクレジットカード情報を参照・保有する必要のない決済代行サービスへ、全店舗を移行させること、(2)店舗の管理用Webページへのログイン認証を強化すること、(3)顧客情報を含む商品注文情報を、店舗がダウンロードできる期限を設けること、(4)講習会を開催したり小冊子を配布したりして店舗に個人情報保護を啓蒙すること、である。
ポイントはクレジットカード情報の管理方式に関する、(1)の対策だ。現在、「Yahoo!ショッピング」に出店する店舗が利用できるカード決済方式は2種類ある。ヤフーの子会社であるネットラストと契約して、カードの与信確認や決済などを一括して代行してもらう「クレジットカード決済サービス(代表加盟店型)」と、各店舗が個別にカード会社と契約する方式だ。このうち後者では、店舗がカード会社などからクレジットカード情報を閲覧できる。
ヤフーは今回、既存の「クレジットカード決済サービス」に加えて、新サービスである「決済情報処理サービス(電文中継型)」を発表した。カード情報を店舗に渡さず、カード会社への与信確認だけをネットラストが代行する。決済自体はこれまで通り、店舗が契約しているカード会社が実施する。新サービスの申し込み受付は、9月中旬から。
いずれかの代行サービスに移行しない場合、「Yahoo!ショッピングの店舗でクレジットカード決済を利用できなくなる」(同社)。このため、クレジットカード決済を利用する店舗は、Yahoo!ショッピングへの出店を継続するならば、どちらかのサービスを選択せざるを得ない。
これまでカード会社と独自に契約していた店舗は、新サービスを利用する場合、契約内容やカード決済の手数料率を変更する必要がない。つまり、取引量が多く、既存の「クレジットカード決済サービス」より手数料率が低い店舗は、新サービスを利用するとよい。一方、手数料率が既存の「クレジットカード決済サービス」より高い店舗は、既存サービスに移行したほうが有利になる可能性がある。
ヤフーによれば、現在「クレジットカード決済サービス」を利用している店舗は約1800店、個別にカード会社と契約している店舗は1000数百店あるという。ヤフーは年内いっぱいかけて、個別に契約している店舗すべてを、既存の「クレジットカード決済サービス」か、新たに発表した「決済情報処理サービス」のいずれかに移行させる計画だ。