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 「情報システム活用は戦略論を振りかざすだけではダメ。現場のオペレーションを十分に分析したうえで情報システムを作らなければならない」と,明治大学大学院グローバルビジネス研究科の杉野周教授は警鐘を鳴らす。

 ここ数年の自動車やデジタル家電のリコール騒ぎや生産ラインの遅延・停滞を見て,杉野教授は危機感を持ったという。「デジタル家電などは設計変更が頻繁にある。当然,部品表(BOM)や金型,生産ラインなどの変更管理が重要になるが,それを実行する現場のオペレーションがうまくいっていない企業がかなりある。表面化はしていないが,設計変更に現場が対応できず,生産現場に混乱が生じているところが多い。日本を代表するような家電メーカーでさえも,悲惨な状況になっていることがある」(杉野教授)。

 このような課題を解決するカギが情報システムだとする。「現場が混乱している企業では,部品供給などを情報処理の問題ととらえきれていないところが少なくない。例えば,多品種少量生産のために部品表データが肥大化して管理できなくなっているケースがある。これが生産ラインの停止,さらには生産担当者の士気低下やスキル低下につながっている。ものづくりをキッチリと情報処理の立場からとらえ直す必要がある」(杉野教授)。

 手本の一つは,やはりトヨタ自動車のTPS(トヨタ生産方式)だという。「TPSは現場の人の改善・改革力を活用した人間情報処理システム。これを正しく理解することが必須だ。また現在のTPSは人間系だけでなくITを融合することで,販売・仕入れまでを統合したグローバルなサプライチェーン・マネジメント・システムに進化している。しかし,こうした認識がまだ世の中に十分に伝わっていない」(杉野教授)。

 このような現状の問題を解決するために,現場のオペレーションを見据えた情報化の手法を解説する講座を同教授は10月から開く。トヨタ生産方式については,以前にトヨタ自動車情報事業企画部主査を務めていた黒岩惠 名古屋工業大学テクノイノベーションセンタ客員教授がITと融合したTPSによるグローバル・サプライチェーンについて述べる。ほかに流通業や金融業の情報システムの実際,さらに現場の問題を解決するための情報システム開発方法論を提示する。