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第一生命の佐々木仁常務
第一生命の佐々木仁常務
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 第一生命保険はこの3年間に、情報システムの運用・保守コストを5億円削減した。運用・保守関連投資の約1割に相当する。9月13日、東京都内で開かれたITIL導入コンサルティング・セミナー(日経BP社主催)で、同社の佐々木仁常務が明らかにした。

 運用・保守コストの削減を可能にしたのは、同社のIT投資マネジメント改革。「IT投資の適正化を図るには、投資案件の立案から執行までのマネジメント改革が必要不可欠」(佐々木常務)との判断から、2002年から取り組んでいる。

 IT投資マネジメント改革の柱は二つ。一つはIT部門への権限集中だ。IT部門にIT投資の権限を集中させるため、2002年にIT企画部門を新設し、それまで利用部門に委ねてきたIT投資の予算立案や執行権をIT企画部門へ移管した。無駄な開発案件をなくすと同時に、IT投資を部分最適から全体最適に変え、経営にっとて重要な案件から実施するようにした。

 もう一つの柱は、コストの「見える化」。システムの運用・保守費を明確にし、四半期ごとに予算と実績の比較・分析を義務付けた。予算と実績が乖離していないかどうかを案件ごとに「S、A、B、C」の四段階で評価する。これにより、無駄な作業を減らす意識が運用・保守現場に浸透し、予算精度が高まった。予算超過を起こす部門の数は、2002年度の8部門から2004年度は2部門にまで減少している。

 コスト削減に向けては、経費の一律カットを実施する企業が少なくない。これに対し、佐々木常務は、「一律カットは、即効性が高いが継続性に欠ける。企業の“ぜい肉”どころか“筋肉”までもそぎ落とす恐れもある」と警鐘を鳴らす。「IT投資マネジメント改革は、手間も時間もかかる。だが、投資の判断基準や材料を数値で明示するようになれば、自ずと無駄なコストが減り、適切なIT投資ができるようになる」(同)という。

 第一生命の情報システムは、サーバー約2300台、クライアント約6万台から構成され、保有するプログラムは約10万本、合計8000万ステップだ。業務拡大とともにシステム規模が大きくなり、2002年度には運用・保守コストが年間44億円に達していた。