IT推進チームの三戸靖浩主任(左)と技術サポート課の斉藤隆課長代理(右)
IT推進チームの三戸靖浩主任(左)と技術サポート課の斉藤隆課長代理(右)
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 医療機器メーカーであるテルモは,病院などを訪問して歩くMR(医療情報担当者)800人が携帯電話を使ったリモート・アクセスを利用している。同社は,最近話題に上ることが多い携帯電話のセキュリティ対策に積極的に取り組んでいる。IT推進チームの三戸靖浩主任(写真左)と技術サポート課の斉藤隆課長代理(写真右)に聞いた。

--リモート・アクセスはどのような経緯を経て現在に至ったのか。

 以前はPHSカードと電話回線を使ったリモート・アクセスを使っていた。ワンタイム・パスワードのトークンを持ち歩いてもらっていたが,そのトークンも2年間過ぎると故障や紛失,電池切れといったことが増えてきた。
 そもそもパソコン,携帯電話,トークン,資料と荷物が沢山。持ち歩く端末を紛失した際のリスクを低くする必要もあった。

--それらの課題をどう解消したか。

 FOMAから社内ネットにアクセスできるようにして,そのリモート・アクセス・サービスとしてNTTコミュニケーションズ(NTTコム)の「モバイルコネクト」を採用した。FOMA端末は,パソコンからリモート・アクセスする際のワンタイム・パスワード表示機としても使える。ワンタイム・パスワードの認証システムもNTTコムのサービスを採用した。
 トークンは紛失すると,悪意あるユーザーに使われてしまう可能性が残る。しかし携帯電話は,紛失しても携帯電話会社に連絡して通話を止めるなどの対処ができる。
 現在はモバイルコネクトへの通信経路として,FOMAのiモード,FOMAのデータ通信カード,PHS,ブロードバンド,固定電話のダイヤルアップ接続の五つを確保している。モバイルコネクトは,一つのシステムでこうした多様な通信手段に対応できる。

――NTTコムを選択した決め手は。

 必要とするサービス・メニューを全部揃えていたことが大きい。提案はコンピュータ・ベンダーなどからもらっていたが,それらは品揃えが足りなかった。我々は,ネットワークを含めてトータルで面倒を見てほしかった。
 いま,携帯電話から使う新しい業務システムを展開することを考えているが,NTTコムにはその仕組みを作る上でテストに協力してもらっている。モバイルコネクトのサービス仕様に関する情報も提供してくれる。
 リモート・アクセス時のウイルス・チェックと,24時間対応のヘルプ・デスクもNTTコムに任せている。

――携帯電話を使う業務はどう変わったか。

 営業系の社員は,携帯電話を使って実績報告や発注,分析ができるようになり,利用できる情報量が増えた。生産性の向上につながっている。
 現在さらに,携帯電話から利用できるMR向けコンテンツを増やしている。MR(医療情報担当者)は,病院の待合室でパソコンを開けない。医療機器が置かれているためでもあるが,待合室でパソコンを開くと情報が漏えいする恐れもあるからだ。そこで駐車場でノート・パソコンを開くよりは,すぐに使える携帯電話の方が便利だ。
 セキュリティはさらに増強する。8月の終わりから9月の頭にかけて,MRが持つ携帯電話を遠隔からロックできる機種に買い換えた。紛失した際に遠隔から電話をかけると,ボタンを押せなくできる。今後もリモート・アクセスのセキュリティを強化していく。

(山崎 洋一=日経コミュニケーション