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 2006年後半にWindows Vistaと同時期に出荷される「Office 12」(開発コード名)で,MicrosoftがOffice製品を大きく変えようとしている。同社はこの製品の新しいユーザー・インターフェースで,各種アイコンやツールバーを取り除いた。先週のProfessional Developers Conference (PDC) 2005でOffice 12の長いハンズオン・セッションがあったので,その詳細を報告しよう。

 Officeは歴史が長い製品である。例えば,Excelが初めて出荷されたのは20年以上前になる。Wordの最初のバージョンは,約100のコマンドをサポートしているに過ぎず,メニューやツールバーはシンプルだった。しかし,最新版のWord 2003では,コマンド数は1500に達し,30ものツールバーがある。

 そのため,Microsoftは同製品のインターフェースに大胆で思い切ったオーバーホールを施すことにした。出てきたのは,驚く内容だった。ライバルやアナリスト,ユーザーも含めて誰も見たことがないだろう。ここ2~3回のバージョンアップでは,インターフェースは小幅な変更にとどまっていた。せいぜいタスク・ペインやスマート・タグが付け加わったぐらいである。ライバル製品のOpenOffice.orgやSun MicrosystemsのStar Officeはこれをまねするのに忙しかった。そして,Microsoftはその間に,新しいことをするのに忙しかったわけだ。

 Office 12のユーザー・インターフェースは全く新しい手法に基づいている。これまでのバージョンにあったメニューとツールバーをほぼすべて取り除かれた。メインになるユーザー・インターフェースは,開発コード名で「Ribbon(リボン)」と呼ばれる。これは,帯(ベルト)状のもので,12ある全Officeアプリケーションの最上部に置かれる。この帯の中には目的指向のギャラリというものが多数置かれている。ギャラリには,ユーザーの現在の操作において必要性の高い機能が入っている。例えば,Wordのデフォルトの作業は,文章の作成(Writing)である。そのため,ユーザーがWordを起動すると「Writing」リボンとともに,文章の作成に最もよく使う「フォント」「段落分け」「書式」「校正」といったオプションが現れる。

 タブ・バーというユーザー・インターフェースもある。これは,リボンの上部にあり,リボンを選ぶためのものだ。Wordの次期版「Word 12」(開発コード名)では,「Write(文章作成)」「Insert(挿入)」「Page Layout(ページ・レイアウト)」「References(参照)」「Mailing(メール)」「Review(レビュー)」「Developer(開発者)」というタブがある。しかもなかなか素晴らしい「Floatie(フローティ)」(開発コード名である)というメニューがカーソルの隣にポップアップする。

 また,退化した「File(ファイル)」メニューがある。しかし,これはアプリケーション独自のオプションが多数あるだけのように修正されている。そして,ツールバーの使い手のために,Microsoftは,よく使うオプションのリストをクイック起動バーとして,Fileの隣に設置している。

 これらユーザー・インターフェースの変更で混乱も発生している。例えば,新しいユーザー・インターフェースを使いこなすには,ユーザーが学び直す必要があるという意見がある。また,企業は,ユーザーをトレーニングする必要が出てくるという。これらの指摘はいずれも正しくない。Office 12の長いハンズオン・セッションに参加したが,私はうれしいことに,このインターフェースに驚きつつも,機能的に使えることが分かった。このようになるものは,以前にはなかった。

 Microsoftは,この変化に対して信用を用意しなければならない。Office製品は安くないものであり,多くの企業に売られている。ユーザーは予想可能な結果を求めている。Officeの売上げは110億ドルあり,これはMicrosoftの年間売り上げの25%を占めている。おいそれと危険にさらすわけにはいかない数字だ。しかし,私は同社がこれをチャンスと捉えていることを好ましく感じる。多くの人々が不可能だと考えていることをやろうとしている。つまり,Officeの再発明であり,気ままに行っていることではない。