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 「システム統合のトラブルが社会に大きな影響を与えているのに,システム統合の成功の条件が十分に認識されていない」——このように東京工業大学大学院社会理工学研究科経営工学専攻の飯島淳一教授は警鐘を鳴らす。

 「最近,東京三菱銀行とUFJ銀行のシステム統合が安全性確認のために延期になった。またシステム統合が困難なために合併や再編をとりやめた企業もある。しかし,2002年4月1日に発生したみずほ銀行のシステム統合のトラブルでさえ分析が進んでいなかった」と飯島教授は指摘する。

 このため同教授は,経営情報学会に「システム統合」特設研究部会を立ち上げ,みずほ銀行の失敗や,日本航空,KDDI,損保ジャパン,荏原製作所,コニカミノルタの成功例などを研究してきた。

 例えば,みずほ銀行の失敗については,現場の実情を開発段階ごとに分析。開発現場が統合の最終形態を共有せずに開発を進めた,プロジェクトの中断を想定していなかった,といった問題を9つのポイントとしてまとめた。

 またシステム統合を成功させるためには,情報システムだけを取り出して議論を進めるのではなく,ビジネス・アーキテクチャと情報システム・アーキテクチャの整合性をとりながら統合を進めることが不可欠,という提言をまとめた。それを実現するために,概念データモデルあるいはコンポーネントベースの開発を進め,都市計画のように時間軸を考慮した開発方法論を採用することが必要と結論付けた。

 これらの成果は,10月28日の経営情報学会のシンポジウム「成功に導くシステム統合の論点」や,このシンポジウムと同名の書籍(日科技連発行)で発表する。「シンポジウムや書籍では,事例研究を報告すると同時に,システム統合の方法論を第一人者が執筆している。今後もシステム統合が容易な柔軟なシステムについて,さらに研究を進める」と飯島教授は述べる。