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10月3日夕方,都内で民事再生法についての記者会見に臨んだ佐藤賢治代表取締役(中央)
10月3日夕方,都内で民事再生法についての記者会見に臨んだ佐藤賢治代表取締役(中央)
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 10月3日に民事再生法の適用を東京地裁に申請し,事実上倒産した通信ベンチャーの平成電電は同日夕方,記者会見を開いた。同社を興した佐藤賢治代表取締役が登壇し,これまでの経緯と今後について説明した。佐藤代表は「事業の成功に向けて直前までがんばっていた。ただ結果としてこういう事態になったのはひとえに経営の責任」として無念な表情で会見に臨んだ(写真)。

 同社は10月3日に返済予定の資金が調達できなかったため,2日の取締役会で民事再生法の申請を決定。「スポンサーを探して,再生計画を実行する」(佐藤代表)とした。佐藤代表は進退について「スポンサーの意向にしたがう」として,退任の意向を示した。平成電電の2004年度(2005年1月期)の売上高は440億円。

 通信サービスは,固定電話のマイラインのほか,直収電話,ADSLやインターネット接続などを提供中だが,「ユーザーに迷惑をかけない形で営業を継続する」(佐藤代表)としている。

 平成電電はメタル線をドライカッパーとして自社で利用し,直収電話サービス「CHOKKA」に取り組んだ初の事業者。2003年の当時はドライカッパーはADSL回線でブロードバンドに利用するのが一般的だったため,業界の注目を集めた。しかもこうした直収電話への同社の取り組みは,2004年9月に日本テレコムが「おとくライン」,KDDIが「メタルプラス」を相次ぎ発表したことで,厳しいものとなった。「競争が激化し回線数は開通ベースで15万。計画の100万に達しなかった。設備は100万回線分を用意している」(佐藤代表)。

 一方で,CHOKKA用設備のリース額が膨らんでいった。平成電電のCHOKKA用機器の大半はリース契約したもの。平成電電設備と平成電電システムという資本関係のない会社から調達していた。両社は一般から匿名の投資組合として広く出資を集め機器を購入,平成電電にリースしていた。投資組合への出資者は約1万9000人で総額約490億円。他の契約を合わせて合計900億円のリースを受けていたという。

 この900億円が今回の民事再生法の申請で負債に計上され,合計で1200億円の負債となった。平成電電側は投資組合の投資家に対して「平成電電との直接の契約はないが,リース物件がどうなるかでご迷惑をおかけする」と答えるにとどまった。平成電電側は今週から債権者への説明を始める。その後,3カ月程度で再建計画を策定し,債権者へ説明する見通し。

 また,平成電電はドリームテクノロジーズとともに無線ブロードバンド・サービス事業に取り組むことを7月に発表している。11月に開始するとしていたが,これに関しては「ドリームテクノロジーズの意向にそって事業ができるように全力を尽くしたい」(佐藤代表)とだけ述べた。ドリームテクノロジーズは平成電電の出資を受けている。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション