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PANYNJのウィリアム・デコータ ディレクタ(左)と成田国際空港の黒野匡彦社長(右)
PANYNJのウィリアム・デコータ ディレクタ(左)と成田国際空港の黒野匡彦社長(右)
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 ニューヨークのジョン・F・ケネディ(JFK)国際空港などを運営する米PANYNJ(The Port Authority of New York and New Jersey:ニューヨーク・ニュージャージー港湾管理委員会)と成田国際空港は10月4日、UHF帯ICタグを利用した実証実験に関して協力すると発表した。ICタグを手荷物に付けて、JFKと成田との間で“手ぶら旅行”を可能にすることを狙う。準備に1年をかけ、来年後半をメドに1カ月間実験を実施する計画だ。

 手ぶら旅行は、国際線を利用する旅行者が自宅で手荷物を宅配会社に預ければ、出発地の空港で手荷物を受け取ることなく、搭乗手続き(チェックイン)をできるようにするもの。手荷物をピックアップした宅配会社は、その荷物にICタグを付けて空港に搬送。その後、セキュリティ検査を経て、航空機に運ばれる。利用者は、自宅から渡航先空港のターンテーブルで手荷物を受け取るまで、いっさい手荷物を持たずに旅行できる。

 成田国際空港は2004年3月から、同社や日本航空(JAL)、全日本空輸(ANA)などが参加する団体「ASTREC(次世代空港システム技術研究組合)」を通じて、ICタグを使った実証実験を実施。本格的な実用化は2006年夏の予定だが、すでにJALは「JAL手ぶらサービス」、ANAは「ANA手ぶらサービス」という名称で、成田発の国際線の一部でサービスを提供している。ただし、米国便や米国経由便は2001年9月の同時多発テロ以降、厳しい安全対策が求められており、これまで手ぶら旅行は実現していなかった。

 成田国際空港はPANYNJと協力することで、EDS(爆発物検知装置)などによる検査体制を確立した上で、成田からJFKまでの手ぶら旅行の実現を目指す。成田国際空港の黒野匡彦社長(写真右)は、「我々は世界を見渡しても、この分野で先頭に立っていると自負している。顧客満足度の向上だけでなく、今後の航空業界の発展を考えても、ぜひとも手ぶら旅行を実現する必要がある」と話す。

 成田国際空港では現在、主に13.56MHz帯のICタグを使っている。PANYNJとの実験では、ICタグに関する標準化団体であるEPCグローバルの仕様(ジェネレーション2)に基づくUHF帯のICタグを利用する方針だ。同社の福田朗IT推進室次長は、その理由として「国際線を運航する航空会社などによる業界団体のIATA(国際航空運送協会)がEPCグローバル仕様のICタグを推奨していることに加え、業界標準になる可能性が高いのでタグの低価格化が見込める、データを読み書きできること」を挙げる。

 PANYNJは「City Check-in」と呼ぶプロジェクトの一環として、JFKから成田への手ぶら旅行を目指す。同プロジェクトでは、例えばニューヨークのペン・ステーションで荷物をチェックインすれば、そのまま手ぶらで旅行できるようにする。ウィリアム・デコータ ディレクタ(写真左)は、「顧客が何を望むかは、アジアも北米も同じ。現時点で米国では、顧客の利便性よりは安全性の確保に重点が置かれがちだが、手ぶら旅行の推進は大切」という。