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 米Macromediaは米国時間の10月6日,“サービス指向”でリッチ・クライアントを開発/運用できる基盤ソフト「Flex 2.0」と,クライアント用のランタイム・ソフト「Flash Player 8.5」の概要を発表した。SOA(Service Oriented Architecture)ベースで作られたバックエンド・システムと容易に連携できることが特徴。異なるユーザーのクライアント・アプリケーション間のリアルタイム通信を中継したり,サーバー側からデータをプッシュしてクライアント・アプリケーションの表示内容を更新したりすることが可能になるという。

 Flash Player 8.5とFlex 2.0は,Macromediaが新しく提唱する「Service Oriented Client(SOC)」と呼ぶクライアント開発アプローチに基づいた第一段の製品。出荷は2006年6月までとまだ先だが,先行して両ソフトのアルファ版を2005年10月17日から段階的に同社サイト上で公開するという。

 SOCは,SOAに基づき構築されたバックエンドのシステム群と連携するクライアント・アプリケーションを,少ない工数で開発できるようにするためのものだ。具体的には,サーバー側と透過的に連携できるデータ・モデルや,XML/SOAPによるメッセージング・サービスといった基盤機能をクライアント側に提供し,クライアント・アプリケーションを再利用性の高いサービスとして開発できるようにする。

 Flash Player 8.5では,開発言語がActionScript(AS)3にバージョンアップされる。従来のASは独自仕様のスクリプト言語だったが,AS3では標準仕様のECMAScriptに完全準拠し,オブジェクト指向言語の特性を強めた。AS3にはAS1/2との互換性が無いため,Flash Player 8.5にはAS3用のスクリプト・エンジンだけでなく下位互換のためにAS1/2用のスクリプト・エンジンも搭載される。XMLを処理するパーサー機能も,Flash Player上に実装される。

 Flex 2.0は,3つのコンポーネントで構成される。(1)統合開発ソフトである「Flex Builder 2」,(2)Flexアプリケーションを開発するためのクラス・ライブラリやユーティリティを含む「Flex Framework 2」,(3)業務レベルのFlexアプリケーションを運用するために必要なサーバー・サービスを含む「Flex Enterprise Services 2」である。

 (1)Flex Builder 2は,Javaなどをベースとした他社のサーバー側統合開発ソフトとの親和性を考慮し,Eclipseベースに変更する。従来は同社のWebデザイン・ツール「Dreamwaver」をベースにしていた。Eclipseベースになっても,旧版と同等のデザイン・ビューやコード・ヒント,ステップ・デバッグなどが可能という。価格は未定だが,開発者1人当たり1000ドル未満になりそうだ。

 (2)Flex Framework 2には,AS3ベースのクラス,コンポーネント,コンテナなどのクラス・ライブラリと,実装したソースを実行形式にするときに使うコンパイラ,プロファイラ,デバッガなどのユーティリティが含まれる。これらは,Flex 1.5まではサーバー・コンポーネントである「Flex Server」に含まれていたが,Flex 2では開発用フレームワークとして外出しした。最低限,Flex Framework 2があれば,Flexベースのアプリケーションを開発・配信することは可能だ。Flex Framework 2は,インターネット上で無償配布する予定という。

 (3)Flex Enterprise Services 2は,従来のFlex Serverに相当するが,いくつかの機能が拡張される。代表的な機能は,クライアント用のメッセージング・サービスである。内部の実装は,クライアントとFlex Enterprise Services間を独自のリアルタイム・メッセージング・プロトコル(RTMP)で通信し,Flex Enterprise Servicesとサーバー・アプリケーションとの間をJMS(Java Messaging Services)でつないでいる。これによりFlexアプリケーション間でリアルタイムにデータを交換したり,サーバーからFlexアプリケーションに最新データをプッシュしたりすることが可能になる。

 そのほか,サーバー側でJDBC/DAO/Hibernateで提供するデータを,自動的にクライアントと同期するデータ・サービスも提供する。また,各種テスト・ツールと連携するための専用APIや,従来のFlexが搭載した動的コンパイル機能,Flash Remotingによる通信機能なども搭載する。価格は未定だが,CPU単位,プロジェクト単位,企業単位のライセンスを用意する予定という。

(実森 仁志=日経システム構築)