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 「あまり有名ではないが,Linus Torvalds氏が自分が作ったカーネルに自分の名前を付けたと同じ傲慢さで提唱した『Linusの法則』というものがある」。フリーソフトウェアイニシアティブ理事長で,日本を代表するハッカーとしても知られるg新部裕氏は2005年10月7日,イベント「Open Source Way 2005」のトークセッション「スーツの本音,ギークの本音」で,冗談交じりにこう切り出した。

 その法則とは「人が何かをする動機は,『Survival(生存)』『Social Life(社会生活)』『Entertainment(娯楽)』の3段階を踏む」というものだ。Linus氏は例として,「sex(性)」や「Eating and Drinking(飲食)」を挙げているという。これらは,本来は生存のためのものだったが,次第に社会的意義を持ち,現在では楽しみのためのものになっている。Linus氏はさらに「war(戦争)」も例に挙げている。「戦争が娯楽」というのはかなりの皮肉である。

 g新部氏は,この法則をソフトウエア開発者に当てはめた。まず,雇われてソフトウエアを書くのはお金をもらうため=生きていくためである。だが,ハッカーはお金のためにソフトウエアを書くわけではない。ハッカーは,GNUプロジェクトによるソフトウエアの自由やDebianプロジェクトによる世界規模でのコラボレーションに社会的意義を見出している。さらに,Linus氏のような一部の優れたハッカーが「Just for fun!(それがぼくには楽しかったから)」という境地にたどりつく。「アインシュタインにとっては『E=mc2』は最高のエンターテイメントだったはずだ」(g新部氏)。