日本IBMは10月17日、中古車オークション会場を運営するシーエーエーから、中古車のオークションを実現する「新競りシステム」の構築を受託したと発表した。会場に設置した1150台の入札用端末を使い、滞りなくオークションが進められるシステムを構築する。2006年5月の稼働を目指す。
競りを円滑に進めるには、入札用端末に対し、オークションの商品情報や最新の入札額を瞬時に同時配信しながら、参加者が投じた入札データを順次処理していかなければならない。日本IBMは「エージェント技術」や「グリッド技術」の適用により、こうした機能を実現するメドをつけた。
エージェント技術は、自律的に動作・判断する複数のソフトウエア・モジュール(エージェント=代理人と呼ぶ)を利用して、人間の動作や判断を肩代わりするシステムの実現を狙うもの。新競りシステムでは、オークションの参加者があらかじめ指定した入札希望商品や入札価格などの情報をエージェントに保持させる。これによって、エージェントが参加者の代わりに、オークションの進行を監視しながら適切なタイミングで入札をかけられるようになるとみられる。
オークションのサーバーから入札用端末へのデータ配信には、「IBM Peer-to-Group Media Broadcast(IBM P2G)」と呼ぶピア・ツー・ピア型のグリッド配信技術を採用。サーバーで送信データを複数に分割し、分割データだけを端末に送信すれば、異なる分割データを受信した端末同士が、互いに分割データを送受信しながら元のデータを復元できるようにした。こうすることで、サーバーがすべての端末に、同じ送信データをそれぞれ送信する必要がなくなり、データ配信を効率化できるという。
オークションのサーバーには、IBMのブレードサーバー「eServer BladeCenter」を採用。入札用端末は、IBMの業務用端末「Anyplace KIOSK」を使う。