KDDIは10月24日,最大5人のau携帯電話ユーザーがトランシーバのように会話できる新サービス「Hello Messenger」を11月下旬に開始すると発表した。これに合わせて,対応モデル3機種「W33SA」(三洋電機製),「W32T」(東芝製),「A5515K」(京セラ製)を順次提供する。最大手NTTドコモも秋冬商戦に向けて同様のサービス「プッシュトーク」を計画しているが,KDDIはチャットなど独自機能で対抗する。
Hello Messengerは通常の音声通話サービスと異なり,最大5人が片方向で会話できるというもの。欧米の携帯電話事業者が提供している「Push to Talk」とほぼ同じだが,個人ユーザー間での利用を想定して,文字によるリアルタイムのチャットや画像データの送受信といった独自機能を組み合わせた(写真)。この点についてKDDIの重野卓・au商品企画本部モバイルサービス部長は「欧米のPush to Talkは主に法人向けのサービス。だがauのユーザーは若者が多く,単なるトランシーバ型通話だけではあまり楽しんでもらえないと考えた。そこで,“チャットが主で会話もできる”という新しいサービスを作り上げた」と狙いを語った。
同サービスを利用するための申し込みや月額利用料は不要。ただし音声通話は2006年4月30日までのキャンペーン料金で,20秒1.05円かかる。それ以降は2秒で1.05円。チャットや画像データの送受信については,従来のパケット通信料金と「ダブル定額」などの割引サービスが適用される。
一方,NTTドコモは月額1050円の定額プランを用意している。KDDIは「サービス検討に当たって定額制導入についても議論した。だがこうしたサービスは,ユーザーが少しずつ使い始めてじわじわと広がるもの。そうした環境では,利用料が高くなりがちな定額プランはかえって使いにくい。それよりも従量でうんと安くしようと考えた。将来定額制を追加するかどうかは,ニーズしだいで検討したい」(重野部長)と説明した。
またKDDIはHello Messenger以外にも,今回発表した各機種に様々な新機能を盛り込んだ。W33SAは,移動通信端末向けの地上デジタル放送(ワンセグ放送)とアナログ放送のチューナーを搭載した端末。視聴しているテレビ番組の録画機能を備え,ワンセグ放送とデータ通信を融合させた「EZテレビ」サービスに対応している。また,W32Tは236万画素のディジタル・カメラとパソコン向けWebページをそのまま閲覧できるブラウザ「PCサイトビューアー」,A5515Kは323万画素のオート・フォーカス付きカメラとモバイルASV液晶ディスプレイを搭載している。