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 国際資格「PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)」の日本における取得者数が急速に伸びている。2000年は1200人足らずだったが、今年8月には10倍の約1万2000人にまで増えた。PMPの認定は、プロジェクトマネジメントの推進団体である米プロジェクトマネジメント・インスティチュート(PMI)が実施している。取得者が急増した理由は、プロジェクトマネジメントを重要性とする認識が強まったこと、PMPの資格取得を奨励する企業が増えたこと、などとみられる。

 「資格取得を通してプロジェクトマネジメントの体系的な知識であるPMBOKを広めていくという意味においては、資格取得者数の増加は大きな成果といえる。ただしこれは一つのステップにすぎない。日本のプロジェクトマネジメント力を向上させるために、取り組むべきことはたくさんある」。PMIの東京支部会長を務める瀬尾惠氏(三菱総合研究所 常勤顧問)はこう語る。瀬尾会長は日本IBMで長年、プロジェクトマネジャを務めてきた。

 瀬尾会長は「プロジェクトを成功させるためには、PMPの資格だけではまだ不十分。プロマネ個人のコミュニケーション力やリーダーシップの強化が欠かせない」と、人の重要性について念を押す。さらに、「プロジェクトを支えるための企業プロセスの整備も必要。プロセスがないままでは、プロマネが孤軍奮闘しても限界がある」と指摘する。

 プロジェクトマネジメントのプロセスについて、瀬尾会長は「多くの日本企業は、まだ初歩的なレベルにとどまっている」とみる。そこでPMI東京支部は今後、プロセス改善のガイドとも言える「組織的プロジェクトマネジメント成熟度モデル(OPM3)」の普及を推し進めていく。11月4日から5日にかけてPMI東京支部の主催で開催される「PMI東京フォーラム2005」では、このOPM3をメイン・テーマとして取り上げる予定だ。

 その一方で、プロマネの仕事の範囲を“現場”のプロジェクト・レベルから、経営レベルにまで広げるための活動も進めていく。キーワードとなるのが、「プログラムマネジメント」と「ポートフォリオ・マネジメント」だ。

 プログラムマネジメントは、複数のプロジェクトや定常業務も包含した全社的な取り組み(これをプログラムという)を効果的にマネジメントすること。企業全体の活動をプロジェクトと見なしてマネジメントすることを意味する場合もある。ポートフォリオ・マネジメントは、中長期的な視点から、複数のプロジェクトと企業戦略との間で整合性を取るための考え方である。

 PMIの米国本部はプログラムマネジメントとポートフォリオ・マネジメントの標準を作成しており、ドラフト版を今年春から公開している。今後、全世界のプロマネの意見を吸収し改良を加え、来年から再来年にかけて、正式版を発表する。本部の動きに合わせて、PMI東京支部も専門委員会を作り、日本語版の提供に向けて準備を進めていく。

 経営レベルにまでプロマネの守備範囲を広げるためには、プロマネ人材の層を厚くする必要がある。そこでPMI東京支部は、大学におけるプロマネ教育にも取り組む。10月3日から、北海道大学大学院情報科学研究科がプロジェクトマネジメントの講座を開講。ここに「PMI東京支部が全面的に強力した」(瀬尾会長)。これに先だって、7月にPMI東京支部内で30人強のボランティアによる専門の委員会を作り、北大教授陣を交えて講座内容を検討した。講義だけでなく、3~6カ月の企業におけるインターンシップも盛り込んでいる。

 北大のキャンパスがある札幌と東京・田町それぞれで講義を行い、テレビ電話システムを使って相互に講義内容を流す。北大だけでなく、北見工業大学、慶應義塾大学、筑波大学、奈良先端科学技術大学院大学、はこだて未来大学の学生も受け入れている。