「中央官庁の約63%が何らかのオープンソース・ソフトウエアをすでに利用している」---経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長補佐 石塚康志氏は10月28日,関西オープンソース2005の「我が国のOSS推進政策について」と題する基調講演で,同省などが実施した調査結果の詳細を明らかにした。
同調査は2005年の2月から3月にかけて,中央省庁の情報化統括責任者(CIO)連絡会議を構成する19機関(内閣法制局,人事院,内閣府,宮内庁,公正取引委員会,警察庁,防衛庁,金融庁,総務省,公害等調整委員会,法務省,外務省,財務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省,環境省)を対象に実施したもの。
対象となったシステムは,省内LAN19システム,人事・給与19システム,文書管理19システム,府省のホームページ19システム,電子申請19システムの計122システムである。
全体では122システムのうち77システム,63.1%のシステムで何らかのオープンソース・ソフトウエアが利用されている(写真1)。特に省内LANでは90%がオープンソース・ソフトウエアを利用。ホームページも84.2%がオープンソース・ソフトウエアを利用している。利用率が低いのは人事・給与システムで,21.1%だった。汎用機などのレガシー・システムが多いことが理由だ。
具体的なオープンソース・ソフトウエアとしては,OSではLinux,インターネット・サーバーではApache,sendmail,bindが多い。データベースではMySQL,PostgreSQLが使用されている(写真2)。
導入理由としては「ベンダーによる提案」が最も多く48.7%。官庁でのオープンソース導入はベンダーがドライブしている状況がうかがえる。ついで「初期導入コストが安い」を34.4%が挙げている(写真3)。
経済産業省と総務省は,特定の製品に依存しない政府IT調達指針の策定を進めている。これに関連して,調達において特定の商用ソフトウエアの名称が記述されているかも調査した(写真4)。2003年4月から2005年1月の各機関の調達仕様書で,半数以上の機関の仕様書に具体的な商用ソフトウエアの製品名が記述されていた。
新たな政府IT調達指針では,WTOの政府調達原則に則り,特定の製品名を仕様書に記述しないことを求める見込み(関連記事)。調達指針は「間もなく公表する予定」(石塚氏)である。