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NovellのAndrea Acrandeli氏
NovellのAndrea Acrandeli氏
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IBM Linux Technologiy CenterのPaul“Rusty”Russell氏
IBM Linux Technologiy CenterのPaul“Rusty”Russell氏
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カーネル2.6のスケーラビリティ(NTTコムウェアの資料)
カーネル2.6のスケーラビリティ(NTTコムウェアの資料)
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 VA Linux Japanは11月10日と11日,Linuxカーネル技術に関するカンファレンス「Linux Kernel Conference 2005」を開催した。NovellのAndrea Acrandeli氏,IBM のPaul Russell氏らが講演した。NTTコムウェアが大規模DBサーバーでのベンチマークでカーネル2.6は8CPUまでスケールするとの結果を報告するなど日本企業からも多数の講演者が登壇した。

 NovellのAndrea Acrandeli氏はカーネル2.6におけるメモリー管理の改善について講演した。Acrandeli氏はカーネル2.4.1で採用された仮想記憶モジュールを開発した技術者である。講演ではOOM Killer,ディスクへの書き込みなどの構造や改善手法などについて講演した。

 IBM Linux Technologiy CenterのPaul“Rusty”Russell氏は,同氏が開発したネットワーク機能テスト・ツール「nfsim」について講演した。テストの効率を向上させることができ,今後ネットワーク以外のカーネルのテストやデバッグへの応用も考えられるという。また,x86アーキテクチャをエミュレートする「バルぐりんど」も開発中であり,メモリーへの書き込みをすべてトレースできるという。

 NECシステムテクノロジーの国本英悟氏は,LinuxのBonding機能について解説した。Linuxでは複数のEthernetポートを仮想的な1つのポートに集約するBonding機能を持つ。「Bondingのロードバランスによる付加分散や,障害発生時に待機系へ自動的に切替えて可用性向上などを実現できる」(国元氏)

 NTTコムウェアの野呂昌哉氏は,大規模DBサーバーへの適用を目的としたカーネル2.6のベンチマーク結果を紹介した。同社が実施したベンチマークでは,カーネル2.6はカーネル2.4の最大1.6倍の性能を示したという。カーネル2.4では高負荷時にCPUリソースを使いきれない状況が見られた。DBサーバーとしては動作周波数3.0GバイトのXeon MPを4CPU搭載したサーバーを使用している。

 またItanium2 1.3GHzのサーバーで行った評価では,8CPUでのDB性能は4CPUの1.7倍。「8CPUまで十分スケールすることが検証できた」(野呂氏)という。4CPUは2CPUの1.9倍の性能だった。

 富士通の前田直昭氏は,サーバー集約に不可欠なハードウエア資源管理機能について講演した。ハードウエアやネットワーク性能の向上により複数のサーバーを集約して管理コストの削減を図る動きがあるが,そのためにはハードエウア資源の割り当てを行う資源管理機能が必要になる。CKRM(Class-Based Kernel Resorce Management)はIBMが中心となり開発が進められている資源管理機能である。現在カーネルへの正式採用を目指し再構築を行っており,富士通とVA Linux Japanは必須モジュールであるCPUリソースコントローラとメモリー・リソース・コントローラを開発している。

 NTTデータの原田季栄氏は,同社が独自に開発したセキュアOS「TOMOYO Linux」について講演した。TOMOYO Linuxは「ポリシーの自動学習機能」を備えていることが特徴で,同日オープンソース・ソフトウエアとして公開した(関連記事)。

 VA Linux Systems Japanの山幡為佐久氏は仮想マシンモニタ「Xen」の解説を行った。Xen 3.0のスケジューラや割り込みと例外処理の仮想化,ページ管理,I/Oデバイスの仮想化,MMUの仮想化などについて,構造体やシステム・コール・レベルの動作や実装を解説した。

 Linux Kernel ConferenceはLinuxカーネルの技術だけに特化した専門的なイベントにもかかわらず,約400名が参加。講演後は会場の参加者から盛んに質問や議論が飛んだ。VA Linux Japan Linux Systems Japan 技術本部長 高橋浩和氏は「世界的にLinuxカーネル開発への参加者が増えており,開発が行われているLinux Kernelメーリングへの投稿量も急速に増加している。日本からの参加も大手メーカーなどから増えているが,まだ使う立場に徹している企業も多い。開発に参加すれば自社が必要とする機能をLinuxに導入するチャンスが得られる」と話す。