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 「On Lisp」(著者はPaul Graham氏)という書籍がインターネットで無償で公開されているのをご存じだろうか(関連リンク)。Lispのマクロについて解説した本で,内容には定評がある。この本は,日本語訳も無償で公開されている(関連リンク)。この翻訳を行った野田開氏が2005年11月17日,Allegro Common Lispの開発で知られる米Franzの日本法人が開催したイベントで,翻訳に至った経緯を語った。翻訳を始めたのは高校生のときだというから驚きである。

 野田氏は高校生のとき,高度な数式処理をパソコン上で行えるオープンソース・ソフトウエア「GNU Maxima」に興味を持ったという。Maximaの中身はCommon Lispで記述されていた。ところが,Common Lispのコードが理解できない。そこで購入したのが,Paul Graham氏が書いた「ANSI Common Lisp」(ピアソン・エデュケーション発行)。さらに2ちゃんねるで,Graham氏が著名なLisperであること,未訳の名著「On Lisp」が存在し,無償でダウンロードできることを知った。そこで,高校3年生の冬に勉強がてら翻訳を開始。2ちゃんねるのスレッドやメールでの応援を受け,2年後の2004年11月頃に訳了した。同氏は現在,21歳で東京大学物理工学科の3年生である。

 同書は全25章からなり,1~6章がCommon Lispの解説,7~18章がマクロの解説,19~25章がマクロを利用したプログラミングの実例集になっている。実例は,最初は他の言語でも実現できるような例が載っているが,読み進めるにしたがって,マクロを利用しなければ実現できない例になっていくという。

 なお,野田氏によるOn Lispの日本語訳は,2006年にオーム社が出版する予定。現在,査読作業が進められている。また,On Lispは米国では絶版になっているが,米国でも復刊する計画があるという。