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 西宮市(兵庫県)は、被災者支援システムのプログラムを2006年3月までに自治体向けにソースコードを含めて無償公開する。同システムは地震や台風などの災害発生時に、被災者に対して被災者証明や家屋罹災証明を発行したり、義援金や生活支援金給付を管理するといった、市の職員の業務を支援するシステムだ。

 西宮市が被災者支援システムを公開するのは、総務省が推進する「複数市町村等共同アウトソーシング・システム開発実証事業(共同アウトソーシング)」の対象システムに選定されたため。共同アウトソーシングとは、総務省予算で複数自治体が共同利用可能なアプリケーションを作成し、自治体に無償提供するという事業だ。システムを共同で構築・運用することで、自治体のITコストの削減を狙う。西宮市は、今年度の共同アウトソーシングの対象システムとして応募していた。

 被災者支援システムは元々、西宮市が1995年の阪神・淡路大震災で甚大な被害を受けた際に、同市の職員が急遽構築したもの。「混乱した状況の中で、市の職員が被災者に必要な証明書類の発行や義援金交付を、ミスなく迅速に実施するのに役立った」(情報政策部の吉田稔部長)という。昨年の台風23号で、市内の住宅が床上浸水などで大きな被害を受けた際にも、稼働した実績がある。

 特徴は、オープンソース・ソフトウエア(OSS)を積極的に活用していること。「災害が発生した場合に備えて、システムを準備しておくことは非常に有効だが、普段は利用しないシステム。それだけに、コストをできるだけ抑えて構築している」(吉田部長)。OSはLinux、データベースはPostgres、WebサーバーはApache、開発言語にはPHPを採用した。

 被災者支援システムは、被災者基本台帳データベース、被災者証明発行、家屋罹災証明発行、義援金管理、生活支援金管理、仮設住宅管理、避難所・避難者管理、犠牲者・遺族管理といった業務をカバーする。「システムには実際に震災を経験して分かったノウハウを詰め込んである。阪神・淡路大震災の時は、全国の人から支援していただいた。昨年から今年にかけて多くの災害が発生している。多くの自治体にシステムを利用していただくことで、少しでも恩返しをしたい」と吉田部長は説明する。