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 「私たちはまさに放送革命に差し掛かろうとしている」――。英BBCニューメディア視聴リサーチ部のステラ・クリーシィー部長は,12月5日に開催した英国大使館主催のセミナーでこのように語った。

 BBCは,日本のNHKに当たる英国の公共放送局。英国では,2005年初頭にADSLなどのブロードバンド加入者がダイヤルアップ加入者を超えるなど,急速に視聴者の環境が変化している。英BBCは,このような変化に追随するため,ネットに積極的にアプローチしている。

 そうした取り組みの一つがラジオ番組のネット配信だ。英BBCのWebサイト上には「RADIO 1」「RADIO 2」など,BBCのラジオ放送の膨大なアーカイブがある。利用者はオンデマンドでこれらの番組を聴くことができる。最近では「ラジオ番組を生で聴く人と,ネットでオンデマンドで聴く人が同じぐらいの割合になっている」(クリーシィー部長)。

 2005年9月からは「iMP(integrated media player)」と呼ぶテレビ番組のネット配信の実証実験も開始した。これは見逃したテレビ番組を放送後7日間以内であれば,好きなときにパソコン上にダウンロードして視聴できるVOD(ビデオ・オンデマンド)サービス。番組のネット配信にはP2P技術を使い,設備負担を最小限に抑えた。コンテンツは,約190時間分のテレビ番組や,約310時間分のラジオ番組,映画などを用意した。

 クライアント・ソフトではEPG(電子番組表)に似た画面を表示でき,ここで番組を検索する。放送済みの番組の検索のほか,今後の放映予定番組のダウンロード予約もできる。現在iMPは,英国内の5000ユーザーを対象に,トライアルを行っている段階という。

 クリーシィー部長はこれらの経験から,「3年後の放送業界は,いかにサービスを使いやすくするのかが重要になる」と語る。番組の内容や質だけでなく,「検索やナビゲーション,パーソナライズ機能が大きな鍵を握る。この部分を疎かにする放送事業者は,将来的には取り残されるだろう」(クリーシィー部長)とも指摘する。さらに10年後の放送業界の姿として,「視聴者が好きなときに見られるオンデマンド放送が,現在の編成に基づく放送に取って代わる」(クリーシィー部長)との予測も示した。