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 携帯電話の機動性に目をつけて,業務に活用している企業は数多い。外出中の社員との素早く確実な連絡手段に使うのはもちろん,携帯電話機を内線電話にも使えるサービス「モバイル・セントレックス」の利用も広がり始めた。

 だが業務利用は今のところ音声通話が中心。情報端末のフル機能を引き出し,生産性向上に生かしているケースは限られる。社内ネットワークの業務アプリケーションを外部から利用するには,今でもノート・パソコンを持ち歩くのが主流である。

 この状況を打開すべく2006年,携帯電話事業者が繰り出す「切り札」が,端末とネットワークの「オープン化」戦略だ。企業ネットワークとの接続や業務アプリとの連携を図る上で,端末機能のカスタマイズの自由度が格段に向上。無線通信機能をフル活用して,パソコンよりも素早く手軽に最新の業務データを引き出せる。携帯電話が,パソコンをしのぐ利便性を備えたビジネス端末に生まれ変わろうとしているのだ。

N900iLに対抗し無線LAN対応携帯を今春投入

 中でもKDDIは2006年春以降,オープン化戦略に基づく新端末を投入するという具体的な計画を持つ。最大の狙いは,モバイル・セントレックス市場で先行するNTTドコモに対抗することだ。

 KDDIは実は2004年11月から独自のモバイル・セントレックス・サービスとして,携帯電話の通信方式をそのまま使って内線電話を実現する「OFFICE WISE」を提供中。だが契約回線数が1000回線以上だったり,サービス・エリアが東名阪に限られるといった制約がある。このため今のところ,本格採用を決める企業はわずかである。

 一方のNTTドコモはOFFICE WISEとほぼ同時期に,無線LAN対応FOMA端末「N900iL」を発売。オフィスの無線LANに接続し,VoIPの内線電話がかけられるタイプの製品だ。登場から1年以上経過した現在は,N900iLに対応した無線LAN機器やIP-PBXが多数登場。OFFICE WISEではカバーできない1000回線以下の企業ユーザーを中心に,導入実績を着々と積み重ねつつある。

 KDDIが計画している新端末とはまさに,NTTドコモのN900iLと直接対抗するための無線LAN対応端末。同社はその中核機能であるVoIP(voice over IP)ソフトや端末アプリケーションの開発を,他社に開放。ただのIP電話電話ではなく,企業の業務システムとの連携力を格段に向上。N900iLより格段に強力なビジネス端末に仕立て上げようとしているのだ。

中核機能をすべてBREWで開発可能に

 具体的には,市販のau携帯電話機に標準搭載しているソフト開発プラットフォーム「BREW」を,今回の無線LAN対応機にも採用。VoIPソフトをBREWアプリとして開発すれば,このアプリから端末内蔵の無線LAN機能を使ってIP電話をかけられる仕組みだ。PBXメーカーやシステム・インテグレータが,ユーザー・ニーズに応じてVoIP機能を作り込みやすくなる。

 BREWを採用する範囲は,VoIPソフトにとどまらない。プレゼンスやインスタント・メッセージなどの付加機能も含まれる。しかもKDDIが新端末に盛り込むBREWの仕様では,アプリが携帯電話の位置情報やアドレス帳などにアクセスすることさえ可能。SIなどにとっての自由度が大きく,ユーザーのニーズに細かく対応できる可能性も高い。

 このように携帯電話の「オープン化」が進むことで,PBXメーカーやインテグレータが携帯電話の法人市場に入り込む余地は一気に広がるはず。これまで音声通話中心だった携帯電話が,業務システムと密接に連携したビジネス端末に変ぼうしていくのは確実だ。

【集中連載 業務利用を一変させる携帯「オープン化」の衝撃】の特集ページはこちらをご覧下さい。

【集中連載 業務利用を一変させる携帯「オープン化」の衝撃】記事一覧
●(1) 無線LAN携帯のソフト“開放”で先行ドコモを追撃するKDDI(12月19日)
●(2) NTTドコモ初のオープン端末に業務アプリが続々登場(12月20日)
●(3) ウィルコムが投入した日本初のWindowsスマートフォンに,ソフト大手が集結 (12月21日)
●(4) 新機軸「バックボーンの網機能開放」で革命を起こすボーダフォン(12月22日)