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 豆蔵のチーフコンサルタントである藤井俊彰氏は2005年12月16日,オブジェクト指向技術について実践・研究するグループである「オブジェクト倶楽部」が開催したクリスマス・イベントで「失敗しないオブジェクト指向教育とは」と題して講演。実際にあった三つの失敗事例を通して,「効果的な教育とは何か」を考察した。

 一つ目は「速くStrutsを習得させたい」というケース。Strutsの使い方を中心にしたカリキュラムを組み,実際にStrutsを使える技術者を育成できたという。ただ,「講座で扱わなかった状況が発生すると対応できない」「人のコードが読めない」といった応用が利かない技術者になってしまった。これを防ぐには,技術の習得は積み重ねであることをふまえ,技術のステップを考慮したカリキュラムを組む必要があるという。

 2番目は,COBOL技術者をJava技術者への転換教育を行ったケース。教育の手間を抑えるため,COBOLとJavaの機能の対比を中心としたカリキュラムを作成した。この結果,Javaの都合のいいところだけ理解して無理矢理COBOLの作法でコーディングする技術者になってしまったという。例えば,クラス名をIDナンバーにして,IDと処理内容の一覧表を作るといった具合だ。これを防ぐには,COBOLの土台に無理矢理Javaの知識を当てはめるのではなく,まずJavaの土台としてオブジェクト指向の考え方を理解してもらい,そこにCOBOLから応用できる部分を埋めていくようにすべきだという。

 3番目は,即戦力となる技術者を育成するために,研修期間を長くし,プログラミング言語をJavaのみに絞ってより深い内容を学ばせたケース。受講者からの評価は高かったが,即戦力としての技術までは身に付かなかった。原因は,講義後も学習を継続する習慣を付けられなかった点だという。このためには,経験のある技術者をメンターとして付けるなど,学習を継続させる習慣を身に付けさせるための何らかの仕組みが必要になってくる。

 藤井氏によると,「知識」は「外から与えられるもの」で「栄養」に当たるのに対し,「技術」は「自分自身で育て上げるもの」で「筋肉」に当たるという。筋肉は自分でしか鍛えられないが,そのためには栄養が必要だということだ。藤井氏は,失敗しない教育のためには,「与える教育」ではなく「根付かせる教育」を実践することが必要だと語る。このためには,講師に「受講者に受講後の効果を意識させられること」「受講者の状況によって対応を変えられこと」といったスキルが求められるという。また,講義でできることは「新しい芽を発芽させるお手伝いをするところまで」(同氏)なので,メンターによるサポートなど講義後のフォローが重要だと強調した。