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写真 ウィルコムが提供するWindows Mobile対応PHS「W-ZERO3」(シャープ製)
写真 ウィルコムが提供するWindows Mobile対応PHS「W-ZERO3」(シャープ製)
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 ウィルコムの最新PHS端末「W-ZERO3」に,12月14日の発売直後からユーザーが殺到している。商品供給が追いつかないため,端末販売サイト「ウィルコムストア」は抽選販売という異例の処置に踏み切った。各地の家電量販店にも行列ができた。同社は目下,当初の計画を前倒しして増産をかけている最中。端末の発売前には「2006年3月末までに10万台」と見込んでいたが,早くも上方修正しそうな勢いである。

 W-ZERO3は,米マイクロソフトの携帯機器向けOS「Windows Mobile 5.0」を搭載したPHS端末。同OSを搭載した日本で初めての端末だ。見た目や大きさはこれまでのPDA(個人情報端末)とほぼ同じだが,PHSの音声通話機能も内蔵する。一種の「スマートフォン」だが,携帯電話が高機能化したものというよりPDAに音声通信機能が付いたものと言った方が近い。しかもハードウエア・キーボードを装備することで,使い勝手をペン入力タイプのPDAよりもパソコンに近付けた(写真)。

 ウィルコムは今後もこうしたスマートフォンの開発に力を注ぐ方針。12月21日には,さまざまなタイプのPHS端末開発を促す業界団体「WILLCOMコアモジュールフォーラム」を発足した。端末メーカーである京セラやシャープに加え,マイクロソフトが共同発起人として名を連ねていることから,W-ZERO3に続くWindows Mobile搭載機の登場が期待できる。

電話も業務システム利用もこれ1台

 個人ユーザーだけでなく,ソフトウエア・ベンダーやシステム・インテグレータもこの新端末に熱い視線を注いでいる。米インテリシンクは発表早々に,パソコンとのデータ同期ソフト「Intellisync」でW-ZERO3への対応を表明。ほかにも日本IBMが通信ミドルウエア製品でサポートを表明するなど,大手企業が続々とW-ZERO3対応を進める見通しである。OS提供元のマイクロソフトも有力なパートナ企業と提携して,1月からWindows Mobile端末の拡販体制を整える予定である。

 ただし通常のPDAであっても,カード型PHS端末を装着すればW-ZERO3並みのネットワーク機能を実装可能。従来にないW-ZERO3の最大のポイントは,電話とデータ通信がこれ1台で済むこと。片手で通話できる電話端末でありながら,汎用的なWindows Mobileのソフトウエア実行環境を備える。OSのオープン化を実現した“本格的なビジネス携帯”と言える。

 また,携帯電話事業者が採用しているJavaやBREWでもある程度の業務アプリは開発できるものの,企業の業務システムとの親和性の高さではWindows Mobileがリードする。

 例えばソフトウエア開発は,パソコンのWindows用アプリ開発と同様の環境で進めることができる。今回W-ZERO3が搭載しているバージョン5.0の場合,「Visual Studio 2005」にWM5.0用の開発キットを追加することで,すぐにソフト開発を始められる。API(application programming interface)もWindowsに似ているので,Windowsプログラマを引き込むのが容易である。スマートフォンのプラットフォームとして,これまで一番使われているSymbian OSと比べたときの大きなメリットである。

 Windows Mobileは旧バージョンのころから海外を中心に携帯電話で採用した例がある。日本ではKDDIが愛・地球博向けの情報端末「愛・MATE」で採用している。バージョン5.0はそれと比べて,企業ユーザー向けの機能向上があるのも大きい。例えば,企業のシステム管理者がサーバー側から,端末のパスワード有効期間を変更するといった操作が可能だ。

 さらに今後,W-ZERO3をIP電話端末として使うためのソフトウエアも登場する。マイクロソフトは2006年4月以降,Windows Mobile端末用のVoIP(voice over IP)アプリケーションを提供する計画。企業の無線LANシステムや公衆無線LANスポットを利用して,企業の内線電話をかける,といったソリューションが可能になる。

 PDAという製品分野は,高機能化する一方の携帯電話と小型化が進んだノート・パソコンに挟まれて一時の人気が失われた。最大手だったソニーも撤退した。しかしW-ZERO3の大ヒットは通信機能と結びつくことの威力を示した。今後の携帯電話各社のスマートフォン戦略にも少なからず影響するはずだ。

【集中連載 業務利用を一変させる携帯「オープン化」の衝撃】の特集ページはこちらをご覧下さい。

【集中連載 業務利用を一変させる携帯「オープン化」の衝撃】記事一覧
●(1) 無線LAN携帯のソフト“開放”で先行ドコモを追撃するKDDI(12月19日)
●(2) NTTドコモ初のオープン端末に業務アプリが続々登場(12月20日)
●(3) ウィルコムが投入した日本初のWindowsスマートフォンに,ソフト大手が集結 (12月21日)
●(4) 新機軸「バックボーンの網機能開放」で革命を起こすボーダフォン(12月22日)