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ハルクが開発した医療情報システムのリッチ・クライアント画面
ハルクが開発した医療情報システムのリッチ・クライアント画面
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ニイウス代表取締役の末貞郁夫氏
ニイウス代表取締役の末貞郁夫氏
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 ニイウスは2006年初頭にも医療情報システムASPを開始する。孫会社であるハルクが販売する医療業界向け統合業務パッケージ「HAL-I」を利用する。2006年4月には画面設計を容易にしたリッチ・クライアントを顧客向けにリリースする。

 医療情報システムは,まず会計システムの導入が進み,検査やレントゲン撮影など異部署をまたいだ業務プロセスのワークフロー・システムへと展開し,最後に電子カルテ・システムへと発展してきた。個々のシステムは後付けで発展したため,データベースが異なる場合が多く,システム間の連携がとられていなかった。

 医療情報システムの本来あるべき姿は,医者が入力した各種のデータを中心に,目的別の各種システムが周囲を取り囲み,医者が入力したデータを利用して連携する形である。こうした反省点から医療業界向けの統合業務パッケージが発展した。2005年現在の医療情報システムのトレンドは,入院患者の治療計画の進ちょく管理機能や統計データのOLAP分析などである。

 こうした背景から,ハルクのパッケージ「HAL-I」も生まれた。2006年初頭には,ASP(Application Service Provider)形式で利用可能な新バージョンがカットオーバーする。ASP版HAL-Iでは,ユーザー・インタフェースにリッチ・クライアント画面を採用した。2006年4月には,ポートレットの様に画面要素を自由に設計できる機能をリリースする予定である。

 業務パッケージをASP型で提供可能にした背景には,導入コストの削減がある。システムをデータベース層,アプリケーション・ロジック層,ユーザー・インタフェース層の3層構造に分割し,ユーザー・インタフェース層を含む小さなシステムだけを個々の病院に導入し,システムの大半をデータ・センターなどに集約することで,個々の病院が支払う導入・維持コストを低減できるようになる。

 個々の病院が独立してパッケージを導入する場合と比べ,提携関係にある複数の病院が業務パッケージを共有することにより,導入・維持コストの削減にとどまらず,電子カルテや各種統計データの共有が可能になる。個々の病院のデータをまとめてデータ・ウエアハウスやOLAP分析用のデータ・マートを構築することにより,提携グループ全体でのビジネス戦略に生かすことが可能である。

 ニイウスでは,ASP版HAL-IのSI販売に合わせ,ハルクの人事構成を2006年1月1日付で変更する。ハルクの関連会社であるハルクシステム開発から,パッケージの開発要員であった100人~200人のSEのうち,大半をハルクに戻す。パッケージの初期開発を終えたため,従来通り開発と販売をハルクに一体化し,今後はパッケージのSI販売に注力する。

 ASP版は,2005年9月に第1号ユーザーが稼動予定だったが,2006年初頭へとずれ込んだ。これにより売上額にして約30億円の損失となるが,他事業の業績の影響で利益目標値に変更はないという。なお,HAL-Iの導入・維持コストは,5年間利用した場合,ベッド数が1000を超える病院で15~50億円,ベッド数500~1000の病院で8~20億円,ベッド数100程度の病院で3~5億円である。