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 東京証券取引所は1月31日、ジェイコム株の誤発注を取り消しできない不具合が昨年12月8日に発覚したことを受け、その原因の調査結果を発表した。富士通が開発した業務アプリケーションの不具合が直接の原因。「特殊な条件下で発生する事象のため、東証がテストで発見できなかった」(西室泰三社長兼会長)という。

 12月8日に発生した不具合は、みずほ証券がジェイコム株を61万円で1株売りに出すところ、誤って1円で61万株の売り注文を出してしまったことに端を発する。みずほ証券は誤発注を取り消そうとしたが、東証の売買システムに不具合があり、取り消しができなかった。結果的に、みずほ証券では400億円以上の損失が発生した。

 東証は、「『みなし処理』がかかった注文に対する取消注文の検索プログラムで、判定条件の一部が適切に開発されていなかった」(西室社長兼会長)と説明する。みなし処理とは、新規上場株で売買の値幅制限がない銘柄について、始値が決定した段階で、制限値幅の上限を超える値段の買い注文と、下限を下回る値段の売り注文を、制限値幅の上限あるいは下限の値段の注文に変換する(みなす)処理のこと。

 みなし処理がかかった注文が対当中(約定中)の場合、その注文への取消注文は、対当状態が解消されるまで待ち状態になる。対当状態が解消されてから、取消処理を進めるわけだ。ここで、「待ち状態を経て取り消しを行うときに使用するプログラムの判定処理に問題があり、本来なら当該注文が『未約定株数あり』と判断すべきところを、『全数が約定済み』と判定してしまった」(西室社長兼会長)。

 不具合の原因となったプログラムは、2000年5月の売買システム刷新の際に、富士通が開発したもの。「富士通による開発過程において、本事象が発生するような条件に対する考慮が十分にされていなかった」と、富士通にも責任があることを明確にした。その上で、「東証のテストでも本事象を想定しておらず、不具合を発見できなかった」と、東証側の責任も認めた。

 ただし、不具合のあったプログラムの詳細や、仕様書や設計書に今回の処理はどう記述してあったのかなどについて、西室社長兼会長は、「みずほ証券との間で、(損害賠償にかかわる)交渉が始まっていない段階なので、現段階ではこれ以上話せない」とした。「みずほ証券との話をはっきりさせた後で、富士通との間で『どの程度の負担をお願いするか』を相談せざるを得ない」と、富士通にも金銭的な負担を求める考えを示した。

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