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 ITの総合展示会「NET&COM2006」初日の基調講演に登壇したのは,日野自動車の蛇川忠暉会長だ。2001年にトヨタ副社長から日野自動車の社長に転じた。トヨタ時代にはCIO的存在としてIT経営を推進した経験を持つ。日野自動車社長就任後も2年連続赤字に陥っていた同社を大胆なIT投資で現場力の復活に尽力した。講演のタイトルは「商用車の開発/製造/販売の常識を打ち破る--IT活用による経営改革--」だ。

 蛇川会長が日野自動車に社長として乗り込んだのは2001年6月。「赤字が続いていたうえに,ITの活用が立ち遅れていた。富士通の秋草直之会長には『私が入社したころのシステムですよ』と冗談を言われたほど」と当時を振り返った。多くの日本企業は機能別,地域別,部署別にバラバラにシステムが導入されている。日野自動車も例外ではなかったという。蛇川会長は「製造業にとって,ITはあくまで道具に過ぎない。価値があるのは商品であり、現場」という現場主義を標榜しつつも「ITは最大の武器」と語った。社長就任後は設備投資に並ぶほどの投資をしてきたという。

 目指す経営として蛇川会長が挙げたのが「業務の5S」だ。「Speed」「Simultaneous(同期化)」「Smart」「Simple」「Salable(売れる)」。達成にはITが欠かせない。「ITの良し悪しが(企業の)様々な機能の良し悪しを決める」と一斉導入の重要性を強調した。IT活用により達成したい項目として,「標準化」「見える化」「業務の整流化」「スピードの促進」「知識の伝承」の5つを明かした。

 日野自動車では蛇川会長が目指したIT活用とトヨタ流の導入により,計画生産から受注生産への転換を達成しつつある。在庫や機会損失を生む計画生産から,JIT(ジャストインタイム)の受注生産への転換の背景にはリードタイムの短縮や顧客への納期の確約などがあった。2002年3月には51%だった受注生産は,昨年3月は98%を達成した。念願の海外販売の強化も実り,日野自動車では2006年3月期から海外売上高が国内を上回る予定だ。

 現在,日野自動車では商品開発から生産,物流,サービスに至るまであらゆる場面で高度なIT活用が進んでいる。同社ではこうしたIT活用と蛇川会長が40年培ってきたトヨタ流を融合させて「日野流」を実現しさらなる成長を目指していく。