トレンド・セッション「UHF帯無線ICタグ」を熱心に受講するビジネスマン
トレンド・セッション「UHF帯無線ICタグ」を熱心に受講するビジネスマン
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JEITA AIDC/WG4委員会委員長の渡辺淳氏
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 UHF帯(953MHz)の電波を使った無線ICタグの導入が始まろうとしている。Suicaなどで使われている13.56MHzよりも長い5メートル程度までの通信が可能になる“長距離”ICタグ仕様だ。物流分野などICタグとリーダー/ライターとの距離を空けなければならない用途に適する。NET&COM 2006のトレンド・セッション「UHF帯無線ICタグ」は,UHF帯への関心の高さを反映し,多くのビジネスパーソンが訪れた。

 セッションの総論「UHF帯無線ICタグの実力」では,電子情報技術産業協会(JEITA)AIDC/WG4委員会委員長の渡辺淳氏が,UHF帯無線ICタグの特徴と課題,市場での実証実験の結果などを報告した。オンワード樫山,小松製作所,三省堂,デオデオ,TKK,昭和図書,菱食の計7社の事例を報告した。家電製品の個別認識で99.11%の読み取り率を達成したデオデオなど,UHF帯が有効な場面が多いことが分かった。

 渡辺氏が所属するデンソーウェーヴの機器を用いた昭和図書の越谷物流センターの事例は,コミック本5冊を分速20メートルのコンベアで移動させ,送信アンテナ1基,受信アンテナ2基でコミック本の情報を読み取るというもの。実験の結果,正確に読み取れる確率は目標とする100%には満たない99.7%だった。渡辺氏は,「紙によってタグの共振周波数がずれるため,十分なパワーを与えるためには送信アンテナを近付ける必要がある」と分析した。

 UHF帯無線ICタグの電源供給方式は,Suicaなどと同様のパッシブ方式である。ICタグ自身は電源を持たず,リーダー/ライターから受ける電波をエネルギーに変換して駆動する方式である。ICタグのサイズはSuicaなど13.56MHzを使うICタグよりも大きくなる。

 UHF帯無線ICタグの最大の課題は,電波の反射である。リーダー/ライターから直接受ける電波と,リーダー/ライターから出た電波が壁などを経由して反射して届く電波とが干渉し合うことによって,電波の波を解読できなくなるという現象だ。直接波と反射波が重なる領域では通信ができなくなる。

 割り当てた電波の帯域が狭いという問題もある。ISO/IEC 18000-6で定義されたUHF帯無線ICタグの物理仕様では,搬送周波数は860M~960MHzである。902M~928MHzを採用した米国のように帯域を広く確保した国では周波数ホッピングが運用上可能だが,国内は952M~955MHzと帯域が狭いため,時間差を付けて通信するといった方法を採らざるを得ない。