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 マイクロソフト執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の鈴木 協一郎氏がインタビューに応じた。鈴木氏はマイクロソフトの開発者向け製品,サービス部門の責任者。今年はWindows VistaやOffice 12の発売が予定されているが,日本の開発者に対してマイクロソフトのプラットフォームについて語ってもらった。発言の要旨は以下の通り。


---このたび日本でも披露されたWindows VistaやOffice 12は,開発者あるいはユーザーに対して今までと違うどのような変化を与えますか。

 マイクロソフトは.NETの構想を2000年に出しました。それ以降,ライブラリとしての.NET Framework,そして開発ツールとしてのVisual Studioを充実させて,「つなぐシステム」というものを広めてきました。その後.NETも開発プラットフォームの主流の一つとして広まるまでになり,開発人口も増えました。

 Windows Vistaというプラットフォームは,次のステップへの一つの回答といえます。プログラミング・モデルとしてWin32からWinFXへと大きく進んだことがあります。WinFXの機能を活用した新しい情報基盤の上に新しい価値を開発者の方々に作っていただきたいと思います さらに,3次元などユーザー・エクスペリエンスの部分の拡張機能によって,新しい操作性を備えたアプリケーション開発の基盤を提供できると思います。

 一方のOffice 12は,日本では初めて公開したのが開発者向けだという点で大きな意味があります。プラットフォームとしてOfficeを紹介したことです。

 また,Office 12では,既にOfficeが備えている機能を,より多くのユーザーに対してより簡単に使えるように操作性を改善しました。Wordの最初のバージョンは約150の機能を備えていました。この程度ならば機能を選択する手段としてメニューバーやツールバーが適していたかもしれません。機能の種類が1500種類を超えている現在は,ユーザーが必要としている機能の多くは既に実装されています。今度はそれらをより簡単に探し出せて,使えるようにすることが重要です。Office 12では,大多数のユーサーが利用する機能の約8割は,ワン・クリックで操作できるようにしました。これらの点は,低価格,あるいはオープンソースのOfficeソフトに対しても,大きなアドバンテージだと考えています。


---Windows Presentation Foundation向けの開発ツールやデザイン・ツールのCTP(Community Technology Preview)版が公開されています。これらのツールとVisual Studioとの関係はどのようなものになるのでしょうか。

 「Expression」のことですね。Windows Presentation Foundationは,これまでのWindowsのGUIを提供してきたGDI(Graphics Device Interface)に代わる,WinFXの中の新しいユーザー・インターフェースのための基盤です。

 Visual Studioは,ロジックの実装やユーザーとの間の情報のやりとりにフォーカスした開発ツールです。それに対してExpressionは,リッチなユーザー・インターフェースをデザインするための,主にデザイナに向けた製品です。

 例えば今でもWebアプリケーションでは,フロントエンドのデザインとしてデザイナが操作性やブランディングを決め,ソフトウエア開発者が各機能としてロジックを組み立て,バックエンドに実装しています。今後アプリケーションは,WebアプリケーションだけでなくWindowsアプリケーションも含めて,完成度が高まれば高まるほど機能が用意されているだけではなく,それらの機能をどのように使わせるか,つまりユーザー・エクスペリエンスが占める位置が重要になってきます。

 工業製品にとって「工業デザイン」に相当する「工業ソフト・デザイン」とも言うべきデザインが,ソフトウエア開発にも必要になってくるでしょう。今のソフトウエア開発に携わっている人が今後デザイナとデベロッパに分かれるのではなく,新たにデザイナがこの分野に入ってくることになるでしょう。Expressionは,こうしたデザイナ向けのツールです。特に,表現力が格段に高められたWindows Vistaが登場すれば,その表現力を生かすためにはデザイナの役割が重要になってきます。


---マイクロソフトはVisual Studio Express Editionを,1年間の限定ながら無償配布しました。その目的はどこにあるのでしょうか。

 私は日本国民全員にプログラマになってほしいと考えています。今以上にソフトウエア開発業界が発展するために,新しい才能がこの業界に入ってきてほしいと思っています。少しでもソフトウエア開発に興味を持っている人たちに対して道具を無償提供することで,この分野に入ってくるきっかけを作りたいと考えています。