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NAB東京セッションでは「IPTVと地上波は融合関係を築けるか」と題したパネル・ディスカッションが開催された
NAB東京セッションでは「IPTVと地上波は融合関係を築けるか」と題したパネル・ディスカッションが開催された
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 米国で開催されている放送関連の展示会「NAB」の東京セッションが2月20日,早稲田大学総合学術情報センター国際会議場で開かれた。東京セッションは,「IP大進化時代の放送産業-放送通信融合モデルの具体像」と題した今回で第8回目を数える。会場には約200人が詰めかけ,講演とパネルディスカッションを聴講した。

 パネルディスカッションは「IPTVと地上波は融合関係を築けるか-WinWinのビジネスモデルに必要な要素を探る」とのテーマで開催された。パネリストとして登壇したのは,日本テレビ放送網で「第2日本テレビ」を取り仕切る土屋敏男氏,VODサービスなどを手がけるネオ・インデックスの槇山啓朗氏,ぷららネットワークスで「4th MEDIA」を推進する中岡聡氏,USENで「GyaO」を手がける高垣佳典氏という4人のキーパーソンが顔をそろえた(写真)。進行はNHK放送文化研究所の鈴木祐司氏が務めた。

 進行の鈴木氏が「映像配信ビジネスは有料モデルと無料モデルのどちらが花開くか」との質問を投げかけると,ぷららネットワークスの中岡氏が「立ち上がりは無料の方が早いが,市場が成熟すれば有料の方が強い。両者は共存する」と回答。市場の成長とともに,既存の「ウインドウ戦略」の中に有料,無料の映像配信とも組み込まれていく考えを明らかにした。ウインドウ戦略とは,例えば映画なら,まず映画館での公開し,次いでDVDを販売,その後レンタルができるようになり,最後にテレビで流すというコンテンツ流通の順序を指す。

 また先日,有料コンテンツの大半を無料に切り替えるとの方針が一部で報道された日本テレビの土屋氏は,「第2日本テレビの方針は当初と何ら変わっておらず,コンテンツによって有料と無料の両方を設定する」と報道を否定。その上で,「現在制作中のダウンタウンの松本人志氏のコントなど,地上波では放送しないオリジナル・コンテンツなどは有料で提供する」とした。

 「ネットでの映像配信に本当にニーズはあるのか」という問いには,日本テレビの土屋氏は「多チャンネル放送も10年前に同じことを言われていたが,韓流ドラマの流行などニーズの存在は明らかになった。ネットの映像配信にもニーズはあるはず」と語った。ネオ・インデックスの槇山氏は「まだユーザーにVODは訴求できていない。より使いやすいタイムシフト視聴やダイジェスト視聴機能で訴求していきたい」とした。

 現時点ではパネリスト4社の映像配信サービスは,いずれも赤字。パネルの最後には,それぞれが黒字化のタイミングをコメントした。

 USENの高垣氏は,「当初の予定よりも早く2006年8月に黒字化する予定」と発言。黒字化の時点では,登録者数が1000万超,視聴時間が1900万時間超になるとの見通しを明らかにした。ぷららは,「あと1年半で単月黒字に持っていく。またBフレッツ・ユーザーの10~15%を取り込めるようにしたい」(中岡氏)考えを語った。
 
 ネオ・インデックスは「2005年度がターニング・ポイント。事業として成り立つことを見せられるはず」(槇山氏)とするにとどまり,日本テレビの土屋氏は黒字化についてのコメントを避けた。

(山根 小雪=日経コミュニケーション