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写真:米ガートナー リサーチのテッド・フリードマン氏
写真:米ガートナー リサーチのテッド・フリードマン氏
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 顧客や業務のデータは資産そのもの。口ではそう言う企業は多い。「しかし,そのデータの品質に気を配っていない企業が多い」。こう指摘するのが,米調査会社ガートナー リサーチでビジネス・インテリジェンス(BI)分野を担当している,テッド・フリードマン リサーチ・バイスプレジデントである。

 現場の入力不備で顧客とのコンタクト履歴が抜け落ちている。あるいは住所や氏名などの表現が統一されていない。こうしたデータの品質低下は,顧客満足度の低下や生産性の低下,間違った意思決定を引き起こす。フリードマン氏は「データの品質低下によるコストは,戦略的な情報システムを構築・活用して得られる利益よりも大きい」と指摘する。

 SOX法(サーベンス・オクスリー法,米国企業改革法)に代表される,企業における業務の透明性確保の流れも見逃せない。「データが欠けていたり間違っていることで,企業の信頼性が損なわれかねない」(フリードマン氏)。

 また,SOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現する上で,データの品質低下は大きな障害になるという。「異なるシステムをサービス化して連携させるに当たって,データの整合性が取れていなければ,連携はうまく進まない。データの品質が低ければ,なおさらSOAの意義は薄れる」とフリードマン氏は続ける。

 そこでフリードマン氏が提案するのが,全社レベルでデータ品質の向上策を徹底することだ。一つポイントとなるのが,「各部門からふさわしい人員を選出し,データの品質管理を担うチームを結成すること」である。このチームが,データの品質を監視し,定常的に改善策を実施する。「仮想的な組織でも構わない。こうした活動を始めることで,データの品質に気を配る文化が社内で醸成されてくる」(フリードマン氏)。

 データ品質の維持・向上に,ITの活用は不可欠だ。例えば,「データ・クレンジング・ソフトウエア」は代表的なツールの一つ。このソフトは,表記の違いなど複数のデータベースにおけるデータの整合性を取る。日本でも複数のITベンダーが販売している。

 一方でフリードマン氏は,「データの品質はIT,あるいはIT部門だけで解決できる課題ではない」と強調する。

 米コンチネンタル航空では,データの品質を高める責任をユーザー部門が負っている。また,業務の中に,データ品質を高めるようなプロセスを組み込んでいるという。コンチネンタル航空は,米ガートナーが2005年に実施したBIのベスト・プラクティスを選出する「BI Excellence Awards」で,最優秀賞を得た。

 「データの品質向上は,企業全体で取り組む課題だ。こう認識し,必要なコストを払った企業が,BIで成功し,ビジネスで成功している」(フリードマン氏)。