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  プロジェクトマネジメント学会は「プロジェクト計画におけるQFD応用研究会フォーラム」を3月1日に開催し、そのなかで、製造業などで使う、顧客要求を満たす製品を開発するための手法「QFD(品質機能展開)」をシステム開発に応用する方法が発表された。「一昨年前からQFDのシステム開発の要求定義工程への応用を研究してきたが、Q(品質)をF(機能)にどう変換するかが課題だった。その変換方法の枠組みがようやくできた」(同研究会の主査を務める、武蔵工業大学の横山真一郎教授)。

 QFDは1960年代に赤尾洋二氏と水野滋氏が作成した。主に製造業の新商品やサービスの開発、品質管理などの分野で利用されている。もともとのQFDでは、縦軸に「顧客の要求(顧客が要求する品質)」を、横軸に「要求を満たす商品を開発する上で必要となる技術特性」を列挙した表を使う。新車を開発する場合なら、縦軸に「運転しやすい」、「乗り心地がいい」などの項目が並び、横軸に「操作性」、「耐振動性」などの項目が並ぶことになる。

 次に、縦軸と横軸の項目が交わるマス目ごとに、両項目の関連がどのくらい強いかを記入していく。例えば、「運転しやすさ」という縦軸の項目と「操作性」という横軸の項目の関連は強いので、軸が交わるマス目には2重丸を記入する。その結果、「顧客の要求を満たすには、どのような技術が必要か」を整理できる。

 今回提案された、システム開発への応用方法は、顧客の要求をシステムの機能に直接関連付けるのではなく、3段階の手順を踏む。「ソフトの場合、要求と機能を結び付けづらかった」(応用方法の研究を進めた武蔵工業大学の劉 功義氏)ためだ。

 まず縦軸に「あいまいな段階の顧客の要求品質」、横軸に「業務フローに基づく要求品質」をとって両項目の関係性を示した「Q-Q'表」を作る。例えば、EC(電子商取引)サイトの構築では、縦軸に「操作しやすい」、「商品管理をしやすい」などの項目が並び、横軸には、「検索→発注→照会」といった業務フローごとに、「検索時間が短い」、「発注操作がしやすい」といった項目が並ぶ。これにより、顧客のあいまいな要求が、どの業務のことを指すのかが明確になる。「業務フローに基づく要求品質」のうち、顧客がどの項目を重視しているかが分かる。

 次に、縦軸に「業務フローに基づく要求品質」をとり、横軸に「システムの機能」をとった「Q'-F表」を作成する。システムの機能には、「顧客情報管理」、「商品管理」といった項目が並ぶ。この時点で、機能面から要求の実現可能性を検証できる。最後に、縦軸に「業務フローに基づく要求品質」をとり、横軸に「システムの構成要素」をとった「Q'-F-E表」を作成する。それまで定義した要求品質が「新規開発するソフト」、「ミドルウエア」、「ネットワーク」などのシステムの構成要素のうち、どの部分に影響を与えるかを明示する。

 研究会フォーラムでは、今回の応用法を用いて富士通やNTTコムウェアが実施したプロジェクトの事例も発表された。「事例は徐々に出てきたものの、研究すべき課題はまだある」と横山教授は語る。「表の書式を標準化したり、ソフト開発組織の成熟度を示すCMMI(能力成熟度モデル統合)との関係を明確にしたい。何より、より広くアイデアを募集するためにも研究会の参加者を増やしたい」(同)。