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SR11000モデルK1
SR11000モデルK1
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 気象庁は2006年3月1日,気象観測データを解析し大気の状態を予測するシステム「COSMETS」の演算ピーク性能を従来機の28倍に相当する21.5T(テラ)FLOPS(1秒間に21兆5000億回の浮動小数点演算)に高めた。同システムにスカラー型スーパー・コンピュータ「SR11000モデルK1」を納入した日立製作所が明らかにした。2001年3月に納入した781G(ギガ)FLOPSの「SR8000モデルB」を置き換えた。

 SR11000は,米IBMが開発したスカラー型のCPU「POWER 5+」(2.1GHz)を搭載した並列処理型コンピュータ。2005年10月に出荷を開始した。1ノードあたり16CPUのSMP(対称型マルチプロセッシング)構成を採り,最小4ノードから最大512ノードまでを,帯域16Gバイト/秒のクロスバー・スイッチ経由で接続する。512ノード接続時の理論ピーク性能は68.8TFLOPSに達する。価格は2億7720万円から。

 従来,科学技術計算用途のプロセッサは,ベクトル(配列)を単位として演算するベクトル型が主流だった。浮動小数点計算に強いという特徴がある。また,専用プロセッサを用いるベクトル型は,プロセッサとメモリー間のデータ転送バンド幅を広く取れるため,大容量のデータを複数ノード間で同時に処理する用途に適する。

 一方,SR11000が採用するスカラー型のプロセッサは,データを単位として演算する汎用プロセッサであり,パソコン向けの既存OSの移植などが比較的容易である。プロセッサとメモリー間の帯域バンド幅が比較的狭いため,例えばサーバー・グリッドを用いた暗号解読などのように,データを分割して個々の独立したノードに演算させる分散処理の用途に向く。

 SR11000はスカラー型でありながら,米ペンシルバニア州立大学と米国大気研究センターNCAR(National Center for Atmospheric Research)が共同開発した気象予測プログラムMM5(Mesoscale Model 5)においてベクトル型と同等の処理性能を示したという。