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 米NapsterのCEOであるChris Gorog氏は3月1日にニューヨークで開催された「Reuters Global Technology, Media and Telecoms Summit」の場で,「当社がMicrosoftに依存しているせいで,米Apple ComputerのiTunes Music Store(iTMS)およびiPodとの競争に効率よく取り組めない」と不満を口にした。Gorog氏は,米MicrosoftのWindows Mediaとデジタル著作権管理(DRM)技術が最終的には普及すると述べる一方で,「Appleの提供しているシームレスな簡潔さは,オンライン・サービス,MP3プレーヤ,接続用ソフトウエアをそれぞれ別の会社が手がけていては真似しにくい」と語る。

 「この12カ月間,(Microsoftの)取り組みは素晴らしいといえる状況でなかった。当社の事業はMicrosoftのDRMソフトウエアに依存しており,ビジネス・モデルもMicrosoftの作った機器メーカーによるエコシステムに頼る形だ。このような環境を適切に組織化していくことは,Appleがこれまでしてきたように1種類の機器と1種類のサービスを提供する場合と比べ,はるかに複雑さが大きい」(Gorog氏)。

 先日Microsoftがメディア・プレーヤの次版Windows Media Player 11と連携させるため,MTVが開始する予定のオンライン音楽サービスURGEと契約した。このことから,Gorog氏の発言は負け惜しみととれるかもしれない。URGEが,NapsterどころかMicrosoft自身のオンライン音楽サービスMSN Musicすら抑えて採用されたのは,Microsoftが「Appleのリードに打ち勝つために必要な,若い音楽購買者に訴えかける力はMTVにしかない」と信じたからだ。

 ところがGorog氏は,Microsoft技術からの決別自体はまったく考えていない。そして同氏は,Microsoftによって作られたデジタル・メディア市場のエンド・ツー・エンドのエコシステムが,パソコン市場のときと同じく最終的に勝利するとみている。「新しい技術の導入は,常に痛みがともなうものだ。それでも,これまでと同じように必ず形になる。結局は,大手家電メーカーがすべてWindows Media側に回るだろう。そして,Windows MediaとMicrosoftのDRM技術が広く普及する当たり前のフォーマットになる。同市場では現在Appleがリードしているものの,早い段階のリードに過ぎない。これまでデジタル化された楽曲は,全販売量のわずか5%しかない。われわれは,まだ極めて初期の段階にいる」(Gorog氏)。

 しかし,Windows Media技術の時代が訪れたとしても,Napsterがその恩恵を享受できる立場にあるかどうかは不明確だ。Napsterからは現金が大量に流出しており,直近の四半期に1700万ドルを失い,前年同期の1280万ドルよりも赤字の勢いが増している。ところがGorog氏は,Napsterが事業の売却先を探しているとの話を否定した。Gorog氏は「事業の売却先など探したことはない。ただし,買収の引き合いは世界中からたくさん受けており,これからも多くの問い合わせが来るだろう。株主の利益になる状況ならば,売却を行う」と語っている。