PR
写真1 第2回高速電力線搬送通信設備小委員会
写真1 第2回高速電力線搬送通信設備小委員会
[画像のクリックで拡大表示]
写真2 取りまとめた測定方法(通信時の電源線端子の妨害波電圧の測定方法の場合)
写真2 取りまとめた測定方法(通信時の電源線端子の妨害波電圧の測定方法の場合)
[画像のクリックで拡大表示]

 総務省は,高速電力線通信用機器の出荷認定試験時の測定方法や,漏えい電磁波の規制値,スプリアス(不要輻射)の規制値案をまとめた。3月6日に開催した,電力線通信の技術基準を検討する「高速電力線搬送通信設備小委員会」の第2回会合で同案を提出した(写真1)。

 メーカーが電力線通信に関するモデムなどの機器を出荷する際には,漏えい電磁波などの規制値を満たしているかどうかを測定しなければならない。今回の小委員会では,主任代理を務める電気通信大学の上芳夫教授が,主任を務める東北大学電気通信研究所の杉浦行教授ら有識者数人でまとめた測定方法とスプリアスも含めた規制値を提案した。規制値そのものは,2005年12月に終了した「高速電力線搬送通信に関する研究会」で議論した漏えい電磁波の規制値をベースにしている。

 具体的には,(1)通信時と非通信時の電源線端子,(2)通信時の通信線端子,(3)通信時の放射妨害波に関して,測定方法と規制値が定められる。それぞれ高速電力線通信が利用する2M~30MHzと,それ以外(スプリアス)で規定した(写真2)。例えば,(1)の通信時の電源線端子の規制値は,ピーク時で30dBuA,平均で20dBuA。スプリアスは0.15M~0.5MHzのピーク時で36~26dBuA,平均で26~16dBuA,0.5M~2MHzのピーク時で26dBuA,平均で16dBuAなどとなっている。このスプリアス値は,「パソコンやインバータを使った蛍光灯,エアコンなどの家電製品の規制値を踏襲したもの」(杉浦主任)。

 これに対して,委員を務めるNHK技術局の河合直樹氏は,「通常の家電製品と意図的に電源線に信号を乗せる電力線通信は別物」と反論。スプリアスに関して,より詳細な検討が必要だと訴えた。しかし杉浦主任は「既存製品よりも電力線通信だけ厳しい値を設定する理由が見当たらない」として規制値案を推し進め,委員会は終了した。

 NHKの河合氏は,異論を述べたことに関して委員会終了後にコメント。「電力線通信に反対しているわけではなく,サーバー型放送などの用途に利用できる可能性を感じている」とのNHKの立場を説明した上で,「電力線通信はメーカーの伝送を専門とする部隊が開発しているが,ラジオやテレビといった受信機を開発しているチームと共同で開発を進めれば,より漏えいの少ない技術になるはず」と指摘した。

 小委員会終了後には,引き続き親会に当たる「CISPR委員会」が開催され,小委員会で取りまとめた規制値などを委員会の報告書案にすることが決まった。報告書案は,文言などの修正が加えられた後にパブリック・コメントにかけられる。

 ただし,パブリック・コメントの募集期間や次回会合の時期については現時点では未定。5月までに委員会として報告書を作成し,情報通信審議会に諮る。その後,電波監理審議会を経て,早ければ今夏にも国内での利用が認められる見通しである。

■変更履歴
2つ目の段落中の「東京電気通信大学の上芳夫教授」を「電気通信大学の上芳夫教授」に訂正しました[2006/03/07 21:58]