米AMDの企業向け市場での伸長が著しい。Opteronプロセサを搭載したサーバーのシェアは上昇を続けている。一方、日本メーカーはまだAMDのプロセサ搭載に及び腰だ。米AMDで全世界の法人事業を統括するケビン・ノックス副社長に今後の方針を聞いた。
■どうやって法人市場を拡大していくのか。
得意分野で企業システムに入り込み、当社の製品の性能の高さや使い勝手の良さを感じてもらう。そうすれば、採用範囲は自然に広がっていく。これが我々のやり方だ。
例えば、米国ニューヨーク・ウォール街のある大手金融機関は、当社の64ビット・プロセサ「Opteron」を搭載した高性能サーバーを、リスク分析システムに採用した。性能が評価された結果、その金融機関は結局、クライアント端末をふくめ社内で利用するすべてのパソコンやIAサーバーをAMD製品に置き換えている。
■国内のサーバー・メーカーはまだ、AMDのプロセサの採用に及び腰だ。
米IBMや米ヒューレット・パッカード、米サン・マイクロシステムズを見てほしい。これらのメーカーは、AMDを採用したことで、マーケット・シェアを失わずに済んだ。将来にわたってAMDを採用しなければ、そのメーカーのシェアは下がっていくだろう。
■Opteronの競合状況についてはどのようにとらえているか。
最大のライバルは、インテルが出荷しているx64アーキテクチャのXeonだ。Opteronとx64アーキテクチャの2種類のプロセサが、企業向け市場の主流といってよい。IBMのPowerやサン・マイクロシステムズのSPARCは、大学や研究所など、特別に高い処理性能を求める一部の用途だけで利用されるようになっていくだろう。
■多くの国産メーカーは、ハイエンドのIAサーバーにインテルの64ビット・プロセサ「Itanium2」を採用している。
Itanium2はOpteronの主要なライバルとは見なしていない。確かにItanium2を搭載したサーバーにメインフレームのリプレース需要はあるかもしれないが、それほど大きな市場ではない。一般の企業ユーザーが望んでいるのは、x64アーキテクチャのプロセサである。当社は当面、メインフレームのリプレース市場に参入するつもりはない。
ただOpteronの性能は今後も向上し続ける。価格性能比も改善しており、将来的には、4つのコアを搭載したOpteronを2000ドル程度で提供できるようになる。そうなれば、自然にハイエンドのIAサーバーでもAMD製品の採用が進むはずだ。